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これが崩壊ですか - 3
「もしかして、生徒会長らも2年生でござるか?」
「そうだよ」
オーノー! みんなA組だとは知っていたが、2年だったとは……。
ということは、あやつら敵なのに我が物顔で僕らの待機所にいたというわけか。ナンテコッタ。
「ちなみに、俺はバレーで、爽さんはバスケ。翔は空と一緒にリレーに出るからね」とせいは続ける。
しかも奇跡的に競技はかぶらない。作者さん、ありがとう。
「そういえば、沙羅は? 一緒にいなかったの?」
ギクリ。
翔先輩、それ僕が気にしていることですたい。
「それが、途中ではぐれちゃいまして……」
と僕はどぎまぎしながら言う。
「空も気づいたらいなくなってたし……。あいつら何やってんだか」
とせいはやれやれと肩をすくませる。
「行事は毎回何か問題があるからね。もしかしたらちゃんとノノの試合見れないかもしれないんだ」
ごめんね。と僕に謝る翔先輩。いや、僕はむしろ一緒に回ってくれるだけで天国っすわ。周りの視線がうざったいけど。
……そういえば、爽さん何も話さない。どうしたんだろう。
気になるけど、あまり聞かない方がいいのかしら。
……あ。目的地に着いた。
お三方にエールを貰い、コートへと向かう。
「ノノ来たか!」
クラスメイトが出迎えてくれた。
僕らのチームは全員で13人。1年が僕を含め4人。2年が2人。あとは3年となっている。
皆ドッヂボールが好きらしく腕っ節もいい。僕は避ける専門だから関係ないけどね。
ちなみに外野は3人。その人達だけ内野に当てたら中へ戻っても良い。外野の人数で勝ち負けが決まるんだ。
……さーて、最初の相手は誰だ?
「げげ……」
やーん、青龍やないかーい。みんな不良ぽくて怖いよぉおおおお!!!
しかも、目が合った人に睨まれた。怖っ。F組怖いっ。面白いくらいにチーム固まったな、おい。
「これはヤバい。違った意味でやられる」
「ご愁傷様」
震える声でそう呟く僕に、肩を置き、キラキラした笑みで親指を立ててくるクラスメイト。お前も道連れやで。
テカヤバイ。コロサレル。
「スタート!」
無情にも試合開始のホイッスルが鳴る。試合は5分間。僕死亡のお知らせ。
ジャンプボールはこちらが触り、ボールはこちらへ転がる。
主力の先輩があっさりと相手を一人アウトにさせた。
……あれ? 意外とこれいけるんじゃね?
皆様、お分かりいただけただろうか。これが負けフラグだということを。
と、言っておけば負けたときの言い訳になるよねっ。
僕って頭良いと思う、うん。
終わったときに気づいたけど、今回は5分間がめっちゃ長く感じた。
青龍とは意外と良い勝負をした。特に、僕の天才的な避けを披露していたと思う。
「ノノ取れ!!」
「ノノ避けてばっかいんなよ!!」
と、外野の方々が叫んでいたが、後半になっていくにつれ「おお」と観戦人からは、感嘆の声を上げるようになっていた。
試合は勝ちました。だけど、試合中はめっちゃ怖かった。
みんな白熱しているだろうがね! あの、集中的に狙ってくるのは怖い! 怖すぎる! 泣きそうになりましたよ、全く!
「お疲れー」
と、せいに肩をたたかれる。僕は恐怖のせいで、思わずせいに抱きついてしまった。
「怖かった。マジ怖かった。殺されるかと思った!」
「はいはい頑張ったねー」
とあやされる。後で考えると、むっちゃくちゃ恥ずかしかったわ。
ちなみに、全競技この体育館で行う。時間効率的に同時進行で行うと思うけれど、同じチームを応援したいとの声が多数上がったために同じ場所で行われることになった。らしい。
体育館も広いし、迷う方も多いんでしょう。僕みたいに。それに、一つに集まれば風紀委員も様子を見やすいからメリットもある。
これら団体戦はトーナメントじゃなくて総わたり戦の為、負けても次の試合があるのだ。
んで、上位2チームと教員チーム(笑)でトーナメント戦、ということだ。
ちなみにドッヂボールが全て終わったら次はバレーボール、バスケットボール、、、へと続く。だから、3日間あるのだ。
非効率すぎワロリンチョ。
僕らは次の試合の後、連戦となる。
さて、次の試合を観せてもらいましょうか。
「……あ?」
何なんだあのチーム。生徒会と風紀委員で固まってる……だと……!?
なぜ。ホワイ。
あっという間に、相手チームをボコボコにしてますわー。1分くらいで相手全滅試合終了。
何故皆ドッジボールなのか分からんが、これはチャンス!
あのクソ憎たらしい顔にボールを当てられるぜ!
……僕が、とは言ってないけどね。
まあ、次の試合に勝てたら決勝進出は濃厚だから、張り切っていきましょうーっと。
相手は、そのボコボコにやられたチーム。おなしゃす!
「生徒会が、1分で倒したのなら……」
開始直前、突然呟く我らがリーダーの先輩。なんだろう……瞳に炎が燃えているような希ガス。
「俺らは30秒で倒してやるぞー!!!」
「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
ひぃっ!?何なの!?
相手涙目……じゃなくて、何競ってんの!!
そんなムサい声ドッヂボールでは出さないよっ!
「ドッヂボールを制するのは俺らだぁッ!」
「「おおおお!!!」」
「勝つぞおめえら!!」
「「おおおおおおおおおおおぉ!!!!」」
熱い!熱すぎる!! ホットだぜ。
これからどっかに戦いに行くみたいだ!
……戦うね、うん。
ちなみに結果は、30秒とまではいかなかったけど、1分以内でこの試合を制してしまった。僕は敵より味方が恐ろしくて恐ろしくて涙目になってました。はい。チキンですみませんねー!
まあともかく決勝進出は決めた訳なので、次の試合は気楽に出来る訳がなく、チームメイトは皆やる気満々なのであった。
「次は生徒会共だ! 顔面に当ててやれ!」
「「うぉおおおおおお!」」
皆さんにお聞きしたい。
生徒会に何の恨みがあるんですか?
いや、正直僕も気にくわないけどさ。1年生の僕と違って先輩生徒達は何か生徒会から被害を被っているのかもしれない。
「では、朱雀と白虎のみなさんはコートへ!」
審判の先生の声で、ハッとする。前に生徒会や風紀がこちらを見ている。
目の前にいると分かる。こいつらのオーラがやべぇことを。
てか、みんな身長たっか。180後半から190くらいの身長達が並ぶと威圧感あるな。
「ぬ……貴様は」
生徒会長さんが僕に気付いたらしい。まじまじと見てきた。威圧感ハンパないっす。
「貴様、朝日に酷いことしたみたいだな……覚えておけよ」
「は、はヒ?」
酷いこと? 何かしたっけか。
「ニット帽の子だー!」
「あのねー僕らさー金髪の子探してんだよねー」
そして双子。線を超えてじりじりと近付いてくる。僕はそれに圧され後ずさる。
金髪? もしかして沙羅たんのこと?
「い、いや。今朝から見てないですけど……」
どぎまぎとそう返すので精一杯の僕。
「あの子……ウザいんですよ」
今なんと?
思わず副会長を見てしまう。
「いつも貴様と共に行動している難波沙羅を見つけたら俺様に言え」
要件は以上だ、と背を向けて向こうのコートへと向かう生徒会。小さく「後で貴様も覚えておけよ」とか言ってた気がする。
……一体、なんなんですの?
僕は混乱する。訳が分からない。
いや、これは僕の動揺を誘っているだけだ。この試合に集中しなくては。
……そして、試合が終わったら爽さんに報告するんだ。
「試合はじめッ!」
軽快なホイッスルの音と共に本日最後の試合が始まった。
「ちょっ!」
何なんですかなんですかナンナンデスカ。
……こいつら、強いッ!
ジャンプボールを脅威な高さで拾ったわんこ。弾かれたボールは会長の元へ。そして
「アウト!」
僕らの主戦力である先輩が次々と当てられていく。
そこからは雪崩のごとく。みるみるうちに減っていく味方。時間を見ると、まだ20秒もた経っていない。
「まじかよ」
気づけばあと僕一人。
「ノノーッ! てめえ当たったらぶっ殺す!」
外野がめっちゃ騒いどる気がするが、僕は避けるのに必死なのだ。
そういえばルールで、外野でのパス回しは7回以内とある。
で、あれば。
「白虎へ!」
……ほら。予想通り。
ホイッスルが鳴り、僕の元へとボールがくるのだ。
ちなみに、言っとこう。
「アウトーッ」
投球力が無くとも外野に渡せるので、味方に当ててもらうのだ。
「貴様ッ卑怯だぞ!!」
そう言われましても。当然じゃない?
でも、こうしていられるのも今のうち。絶対対策は立ててくる。
予想通り、わんこが投げるコースを塞いできた。
あの身長に前を塞がれると、横パスは長い腕で捕られるし、相手外野もすぐ隣にいる。完全パス壁ですわ。ありがとうございます。
しかし、こいつらは僕の必殺技を知らない。
「アウト!」
「な、なんだと……!?」
僕、実は投げるの得意なんですわ……(ゲス顔)。
……ということはなく、ただ両手で相手に投げつけただけ。さすがに至近距離で両手投げの良いところコースのボールは捕れんでしょ。
これが頭脳プレーよ! 運動能力にもの言わせんなボケェ!
とりあえず邪魔なわんこを外野へ送る。そこで歓声と悲鳴が会場を満たした。それによって、味方外野が何を叫んでいるかわからんわー。別にいいけど。
「試合終了!!」
あら。終わっちゃった。
負けたわー。悔しいな……。
「決勝戦では勝つぞ!」
と先輩が意気込みを叫んでいる中、僕はふ、と体育館の入り口に視線を移す。
「沙羅たん……?」
見覚えのある金髪と背格好。
絶対そうだ。見間違うハズない。
「ノノどこに行くんだ!」
クラスメイトが何か呼んだ気がするが、僕は沙羅たんを追いかけた。
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