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6.
放課後。一人でさっさと行こうとしたところをまんまと捕まってしまった。
隣で鼻歌でも歌いそうに上機嫌なアラタスを横目に見ていると、目の前にアラタスの友人とそのペアがやってきた。
「ミコ〜! ボクとえっちしようよ〜!」
「リエヴルはリエヴルで大好きな人がいるじゃん。その人とすればいいよ〜!」
「え〜っ? コイツのことなんて、そんな⋯⋯」
「何言ってんだ。突っ込まれて悦んでいるクセに」
「何を〜!」
売り言葉に買い言葉をするアネルヴとゲファール。
いがみ合っている二人だが、この二人もいつの間にか付き合っていて、それと関係があるのか、アネルヴに至っては前よりも副作用が軽くなったと、聞いてもないのにアラタスがそう言っていた。
喧嘩するほど仲が良いと言ったものだが、どの辺りで恋人関係に発展するのか、フリグスの頭ではいくら考えても答えが出てこない。
それは、自身のペアでも言えることであるから、余計に。
顔をくっつけんばかりに言い合っている二人を横に通り過ぎ、教室を出て行った。
廊下は勉強から解放され、あとは帰るだけだからなのか、そこかしこで賑わいを見せる。
そんな最中、どちらとも何か話をするわけでもなく、ただ歩いていた。
教室にいた時は、こちらが勉強していようが読書していようが、妨害してまで率先して話をしていたというのに、今は押し黙っていたのだ。
いつもこのぐらい静かにしてくくればいいものを、と思ったが、その黙りとしているのが今は少し気になった。
逆に調子が狂うというか。心がざわつくというか。
こちらから話すべきか。いや、何の話題をするべきか。
いや、そもそも何故こっちがそのような気を回さないといけないのか。
「⋯⋯ねぇ、フリグス」
色々と思案を巡らせていると、アラタスがぽつりと小さく呟くように声を掛けてきた。
目を丸くするという、自分らしくない驚き方に気づかれてないだろうかと思いつつ、「何だ」と返した。
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