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8.受け キス→攻め ディープキス
向き合ったアラタスがぎこちないキスをしてくる。
これでいいのかな、それともこうしたら悦んでくれるのかな。
言葉を発せずともそう思っているのが、触れた時伝わってくる。
今回が初めてしたわけでもないし、しかも何度もしているというのに慣れそうにない。
焦れったい。
だが、そう条件に入れたのは自分だ。自業自得ともいえよう。
相手の様子を伺うようにちょんちょんと触れていた唇が、何がしたいのか長く触れてきたかと思えば、ちょろっと舌を出し、閉じたままの口の中に入れようとしてきた。
しかし、固く閉ざしている口に入れることは叶わなく、アラタスの舌はその入り口で戸惑いを覚えているようで、開けて欲しいと唇をちろちろと舐めだした。
小動物か何かか、お前は。
意固地になって閉じているといつまでもそうしてそうだと思ったフリグスは、仕方なく口を開いた。
すると嬉しそうにしたアラタスが嬉々として入れてきた。
そんなことで喜ぶのか。単純な。
しかし、どうしてか自分も悪くないと思っている。
その何故かが分からないながらも、嬉々とした表情から一変、暗闇から何か恐ろしいものが飛び出してくるのではないかと怖気付いて、慎重になっているアラタスの舌を自分の方へと誘った。
「⋯⋯っ!」
びっくりし、目を丸くするアラタス。
構わず舌を絡め取った。
こっちがどう動くのか分からないために、戸惑いの色を見せるアラタスに合わせようとゆっくりとした調子で舌を動かす。
「⋯⋯は、⋯⋯ふ⋯⋯っ」
動きが緩やかになったからか、口の合間から息を漏らした。
それでもアラタスにとっては精一杯の息継ぎかもしれない。その必死な姿に、ゾクッと身体を震わせた。
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