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第13話:夜の熱

 テクニックも何もない、闇雲に触れるだけのキス。  熱だけが高かった。  ユキオの顔が離れると、オレは何度か瞬いた。 「……えーと? 代わりにならないって言ったよな、さっき」 「言った」  ユキオは怒ったような顔で頷いた。  オレは言葉の意味を少し考えた。 「つまり、オレを抱きたいってこと?」  ユキオが暗闇でもはっきり分かるほどカッと顔を赤くした。 「お前、そんなはっきり……! ……」  言いかけた言葉を飲み込んで唇をかみしめてオレを見つめたユキオは、思いつめたような目で微かに頷いた。  欲に濡れた、それでいてどこか縋るような視線。  ――不意に背筋がゾクッと震えた。 「いいよ」  オレはユキオの襟首を掴むと、引き寄せて噛みつくように唇を重ねた。 「おまっ……」  当惑した声を無視して舌を滑りこませると、浴衣の薄い布越しでもユキオの肌が熱く熱を帯びるのが分かった。  ユキオの熱をむさぼりながら、オレはあわただしく自分の浴衣の帯を引き抜いた。 「オレもスイッチ入った。やろう」  弾む息遣いが熱い。  お互いの下半身がぴったり密着してるせいで、ユキオの熱と早鐘を打ったような鼓動がダイレクトに伝わってきた。 「……ま、待て、待ってくれ」  それなのに、ユキオは何かに耐えるような苦しげな目でオレを見つめた。 「お前……ほんとにいいのか? 無理して俺に応えなくていいんだぞ」 「何言ってんの、アンタ?」  呆れてしまう。オレはユキオを布団に押し倒した。 「無理なんかしてない。前にも言ったでしょ、アンタのこと好きなタイプだって」  首筋に舌を這わせると、ユキオの身体が小さく跳ねる。 「もっと言って欲しい? 結構前からアンタとやりたいって思ってた」 「あ……や、やめろっ、嘘、つくなっ」  びくりと震えるユキオに、さらに煽られる。  オレはガチガチに張り詰めた下半身をユキオのそれにこすりつけた。ユキオもオレと同じくらい昂っているのが分かって、嬉しくなる。 「嘘なんかつくかよ、メンドくさい」 「あ、あっ……」 「人に火をつけといて焦らすなって。……オレがアンタに抱かれたくてたまんないの、分かるだろ」  自分でも呆れてしまう。  オレっていつの間に、こいつにこんなにハマったんだ?  ユキオは一瞬硬直してから、むさぼるようなキスを降らしてきた。吐息を弾ませ舌を絡ませ合いながら浴衣をむしり取り、下着を脱ぎ捨てる。  たどたどしい手つきなのに、自分でもびっくりするくらい反応してしまう。 「お前の身体……どこもかしこも冷たい」  耳元で囁かれると、ぞくぞくするような快感が脳を灼いた。  オレはユキオの身体にしがみついて囁いた。 「アンタが温めてくれ。外からも内からも、全部」  肌を滑る指や舌から、熱が生まれて体の奥に満ちていく。  降りしきる雨の音を遠くで聞きながら、ずっとこのままでいたい、と思った。

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