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第7話 朝、君の隣で目が合った

次の日の朝。 悠馬は、なんとなく足早に教室に入った。 理由はわかっていた── 昨日、蓮と手をつないで帰ったこと。 その感触が、ずっと手に残っていたから。 ⸻ 教室にはまだ誰もいない。 でも──もうひとつの影がそこにあった。 「おはよう、悠馬くん」 蓮だった。 窓のそばの席に、静かに座っていて、 そして……ちゃんと、悠馬の方を見ていた。 ⸻ 「……おはよう。今日も早いね」 「うん。……悠馬くんに、会いたかったから」 その一言に、また胸がぎゅっとなる。 ⸻ 悠馬は自分の席に座り、 少しだけ顔を向けて言った。 「ねぇ……昨日のこと、覚えてる?」 蓮は小さく頷いて、 指先で制服の袖をぎゅっとつかんだ。 「……恥ずかしいけど。 ……嬉しかったよ」 ⸻ ふたりの視線がふわりと交差する。 そのとき、どちらからともなく、少しだけ微笑んだ。 「蓮くんのこと、もっと知りたいな」 「……じゃあ、教える。ぼくのこと、全部──悠馬くんにだけ」 ⸻ 外は春の風。 けれど、教室の中は少しだけあたたかくて、 その理由は、もうはっきりしていた。

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