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第13話 あたたかくて、くすぐったい夜

公園を出たふたりは、 そのままゆっくりと夜の道を歩いていた。 街灯の下、つないだ手はずっと離れない。 蓮の手が、少し熱を帯びているのが伝わってくる。 ⸻ 「……もうちょっとだけ、一緒にいたい」 蓮がぽつりとそう言った。 「うん。帰るの、もったいないね」 「……ね、悠馬くんの家って、近かったよね?」 ⸻ ドキッとする言葉。 「……来る?」 「……うん」 ⸻ そして── ふたりは、はじめて“部屋”でふたりきりになった。 ⸻ 蓮は静かに部屋を見回して、 そのまま、ベッドの端に座った。 「悠馬くんの匂いがする……なんか、落ち着く」 「ちょっとだけ、座ってて。お茶入れるから」 悠馬がキッチンに立ったその背中を、 蓮は少しだけ切なげに見つめていた。 ⸻ そして、コップを手に戻ってきた悠馬に、蓮は言った。 「ねぇ……ぎゅってしてもいい?」 「……それは、ぼくのセリフだったのに」 ⸻ ふたりの間に、また距離がなくなった。 ソファで、膝をくっつけて、 お互いの体温を感じながら、そっと抱きしめあう。 ⸻ 「……あたたかい。 悠馬くんの腕、なんかくすぐったい」 「くすぐったいって…… それ、笑ってるってことでしょ?」 「……ふふ。そうかも」 ⸻ ふたりの笑い声が、 静かな部屋にぽつり、ぽつりと溶けていった。

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