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第15話 それって、恋っていうのかな
「なぁ、レンはさ……好きな子、いる?」
夕焼けがにじむ教室で、悠馬はふと口にした。
窓際の席、横顔だけがオレンジに染まるレンの瞳が一瞬揺れる。
「……なんで急に?」
「んー……ただ、気になっただけ」
本当はずっと気になってた。
放課後、一緒に帰るのが当たり前になって、
いつの間にか、レンの隣が一番落ち着く場所になってた。
でも、それが“恋”かなんて、分からなかった。
「好きな子ねぇ……」
レンは少しだけ笑って、黒板の方を向いた。
「昔はわかりやすかったけど、今はちょっと違う気がするな。何となく“この人じゃなきゃ嫌”って思うだけでさ」
「それって、好きってことじゃないの?」
「そうかもね」
悠馬は胸の奥が、じんわりと温かくなるのを感じた。
“この人じゃなきゃ嫌”――それはきっと、自分も同じだった。
「じゃあさ……オレ、そうかもしれない」
「ん?」
「レンのこと、そう思ってる。……だから、オレ、もしかしたら――」
レンがふっと、微笑む。
その表情に、胸が跳ねるように高鳴った。
「じゃあ、ちゃんと考えてみてよ」
「え……?」
「オレもさ、悠馬のこと……そんなふうに思ってるかもしれないから」
その言葉に、心が一瞬、止まる。
でもすぐに、鼓動が速くなって、
頬が熱くなるのが分かった。
「……うん。考える。ちゃんと」
窓の外では、赤く染まった空がゆっくりと夜に変わろうとしていた。
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