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第16話 小さな約束

「明日さ、寄り道していかない?」 放課後、教室を出たところで、レンがぽつりと口にした。 階段の踊り場に差し込む光が、レンの髪をふわりと照らしている。 「寄り道って……どこに?」 「秘密。でも、ちゃんと考えた答えを聞かせてほしいなって思って」 「……うん、いいよ。行く」 自然と手が並ぶ距離。 ほんの少しだけ、指先が触れるだけでドキッとする。 廊下を歩きながら、悠馬は自分の鼓動がやたらと大きく響いているような気がした。 たった一言の約束なのに、嬉しくて、どこか照れくさくて。 「じゃあ、明日。駅前のロータリーで待ってるね」 レンが、やわらかく微笑む。 その笑顔に、胸の奥がじんと熱くなった。 「……わかった。遅刻しないようにする」 「じゃあ約束だよ?」 指をちょこんと伸ばして、小指を絡めてくるレン。 まるで小学生みたいな仕草なのに、妙にドキドキしてしまう。 「ゆびきり、げんまん――破ったら……」 「レンに怒られる?」 「うん、めちゃくちゃ拗ねるよ?」 「……絶対に破れないじゃん、それ」 顔を見合わせて、二人でくすっと笑った。 放課後の空気が、甘く揺れる。

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