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第17話 待ち合わせの午後
土曜の午後。
制服じゃない私服姿のレンは、いつもよりちょっと大人っぽく見えた。
「……待たせた?」
「ううん、僕も今来たところ」
お決まりのセリフが、少し照れくさい。
だけど、それを聞いたレンの表情がふっと和らぐのを見て、やっぱり言ってよかったなと思った。
「じゃあ行こっか。今日はね……ちょっと遠回りするよ」
「遠回り?」
「うん。歩くのが好きだから。悠馬と一緒なら、なおさらね」
レンが歩くペースに合わせて、横に並んで歩く。
ふたりの影が、夕方の街に寄り添うように伸びていた。
少し歩いたところに、川沿いのベンチがあった。
レンは迷わずそこに腰かけて、悠馬にも手招きする。
「ここ、僕のお気に入りの場所なんだ」
「へえ……静かだね。風も気持ちいいし」
「うん。ね、悠馬」
レンが横を向く。
その瞳がまっすぐこちらを見つめていて、悠馬は自然と視線をそらせなくなる。
「好きって、言ったら……迷惑?」
「……迷惑なんか、じゃない」
言葉が、自然と口からこぼれる。
それは、今まで胸に秘めていた気持ちが、ようやく言葉に変わった瞬間だった。
「そっか……よかった」
レンが微笑む。
そして、ふたりの距離が、そっと近づく。
触れるか触れないかの距離で――唇が、重なった。
風の音だけが聞こえる、静かな午後の川辺。
それでもふたりの心臓は、きっと同じ音を刻んでいた。
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