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第4話
「あの、さ…、キスよりもっとすごいこと、したいんだけど…」
「キスよりもっとすごいこと…」
「ん、」
無言。
付き合えただけでも充分だと思わなくては聞けなかったんだ。
我が儘はいけない。
そう、思っていたはずなのに。
ごめん、と言おうと顔を上げると真っ赤な顔が視界に入る。
「うん」
「え…?
良いの…?」
「うん。
…した、い」
心の準備、なんてのは名ばかりで必死にネットに齧り付いてセックスの勉強をした。
傷付けない為に。
2人で気持ち良くなる為に。
「い゛っ、」
「悪いっ、抜くから」
「抜くな…っ、」
眉の間に皺を寄せるのが痛々しい。
けど、次第に大きさになれてきたのか呼吸が落ち着いていく。
それでも不安だった。
ネットの上の知識は、ネットの知識でしかない。
相手は生身の人間。
それも愛している人だ。
本当に大丈夫か顔を覗くと、後頭部へと手が伸びてきた。
そして、ちゅっとキスをされる。
「俺は平気だから。
男だろ、最後まで気持ち良くしてくれよ」
はじめてのセックスは元日。
元日に新しいことをはじめると神様に嫌われるよなんて言われて、2人で笑った。
それでも構わないって。
嫌われたって、今したいから。
「俺のセックスが下手になったら凌久のせいだからな」
「俺以外とする予定あんのかよ」
「嫉妬?」
「たりめぇだろ」
同じ大学を受験して互いに合格して、一人暮らしをはじめたから気兼ねなく部屋を行き来して。
週の半分は一緒に飯を食っていた。
そして、もうすぐ成人式。
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