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思いがけない欲望

ガラッ 彼が出て行ってすぐ、またドアが開いた。 入ってきたのは川村先生だった。 床を見つめたまま、ぎこちない足取りで保健室の奥へと歩いてくる。 「……高瀬さん。今、三浦に……何をしてたんだ?」 私はビクリと肩を震わせた。 「っ……まさか……見ていたんですか?」 「見ていた、というか……聞いていただけだ」 喉がきゅっと締まる。バレた――その恐怖に、思わず強がった声が出る。 「……そ、そうですか。で、何が言いたいんですか?怒るなら、怒ってください」 川村先生は沈黙したまま、しばらく視線を落とし続けていた。 そして、かすれた声でぽつりとこぼす。 「……怒る? いや、違う。むしろ……俺も、同じようにしてほしい」 「えっ……?」 思わず聞き返す。心臓が跳ね、耳まで熱くなる。 ――あの無愛想な川村先生が、そんなことを言うなんて。 「……ああいうの、俺にも……してほしい」 私は息をのんだ。けれどすぐに、唇の端に冷たい笑みを浮かべる。 「……先生、それじゃよくわかりませんね」 わざと一歩、彼に近づいて見あげる。 「ちゃんと言葉にしてください。――私に、どうしてほしいんですか?」 川村先生の肩がピクリと震える。 しばしの沈黙ののち、低く掠れた声がもれる。 「……三浦にしたみたいに……俺にも、触ってほしい」 私は首をかしげ、さらに追い打ちをかけた。 「もっと具体的に。――どこを、どう触ってほしいんですか?」 川村先生は顔を上げられず、苦しげに唇をかみしめながら、それでも絞り出すように言った。 「……俺の……そこを……触ってほしい……」 「わかりました。いいですよ」 私は保健室の鍵をそっと閉め、落ち着いた声で言った。 手を伸ばすと、彼のものがそっと反応し、みるみる硬さを増して上を向くのがわかる。 「下の服……脱いでくれませんか。全部」 「え……脱ぐって……気持ち悪くないのか?」 「いいえ。私は大歓迎ですよ」 「わ、わかった……後ろ向いててくれるか?」 「ダメです。見られていた方が、興奮するでしょう?」 「っ……わ、わかった」 川村はぎこちなくワイシャツに手をかけ、ゆっくりと脱ぎ始めた。 私は視線を逸らさず、その一部始終をじっと見つめる。 「……あんまり、見るなよ……」 小さくつぶやく声は震えていた。だがもちろん、従う気なんてない。 彼の顔はみるみる赤くなり、脱ぎ捨てられた布の下からは、熱を帯びて硬さを増したものが主張を始める。 パンツを下げると同時に、それは勢いよく跳ね上がり、川村自身も慌てて手で覆い隠そうとした。 「恥ずかしいんですか?」 「そ、そりゃ……恥ずいだろ」 「隠したらできませんよ。手を、どけてください」 川村はぎこちなく手をどける。 その瞬間、彼の熱を帯びたものが露わになり、空気に触れてわずかに震えた。 「……っ、見んなよ……」 耳まで真っ赤にしながら、彼は小さくつぶやく。 私はわざと視線を逸らさず、ゆっくりと観察する。 「ふふ……立派ですね。――隠さなくても大丈夫ですよ」 「やめろ……からかうなよ……」 川村は苦しげに言葉を絞り出すが、その声には震えが混じっていた。 私はそっと指先を伸ばし、先端を軽くなぞる。 「……っ……!」 彼の体がビクリと跳ねた。 「ほら、やっぱり……隠すより、見られて触られる方が興奮してるじゃないですか」 「ち、ちがっ……」 否定の言葉を吐き出しながらも、川村の反応は正直だった。 私は指先でゆっくりと扱き上げながら、わざと淡々とした声で続ける。 「さっき“俺にもしてほしい”って言いましたよね。――だったら、ちゃんと最後まで受け入れてください」 「っ……高瀬……もう、やめ……」 言葉とは裏腹に、彼のものはますます硬さを増していく。 私は唇を近づけ、わざと耳元で囁いた。 「……それともやっぱり、さっきの三浦君にバラしてしまおうかな」 川村の体がビクンと強張る。 「なっ……それは……やめろ……!」 「なら、素直になってください。――気持ちいい、って言って」 「っ……」 顔を真っ赤にしたまま、川村は必死に言葉を飲み込もうとする。 だが、私の指先の動きが止まらない限り、彼はもう逃げ場がなかった。 川村は唇を噛み、必死に耐えていた。 けれど、私の手が亀頭をなぞるたび、声を押し殺すように喉が鳴る。 「ほら……声、出てますよ」 意地悪く囁くと、川村は顔をそむけ、肩を震わせた。 「ちがっ……ちがう、俺は……」 言い訳を続けようとするけれど、彼の腰は勝手に前へと突き出してしまう。 私は一層ゆっくりと扱き上げ、耳元に口を寄せる。 「じゃあ言ってみてくださいよ。――“気持ちよくない”って」 「……っ」 川村は言葉を詰まらせた。 彼の睫毛が震え、熱に濡れた目が一瞬だけ私を見上げる。 「……っ……気持ち……いい……」 その一言を絞り出した瞬間、彼の全身から力が抜けた。 耳まで真っ赤にして、呼吸を荒げながら必死に隠そうとするが、もう遅い。 私は満足そうに微笑む。 「素直に言えるじゃないですか。――かわいいですよ、先生」 「……バカ……っ、やめろ……」 抗議の言葉は弱々しく、むしろ甘えたように聞こえる。 その姿に、私はますます彼を追い詰めたくなる。 指先の動きを速めると、川村は情けない声を漏らし、机の端を必死で握りしめた。 「だめっ……もう……っ」 「いいんですよ、出しても。――ほら、見せてください」 「……っ、もう、だめ……っ!」 川村の腰が勝手に跳ね上がり、熱を帯びた身体が私の手を振り払うように震える。 次の瞬間――白濁が勢いよく飛び散った。 保健室の静けさを破るように、机に、床に、私の手にまで温かい飛沫が散る。 「はぁ……っ、はぁ……っ……!」 肩で息をしながら、川村は必死に顔を伏せた。 耳まで真っ赤に染まり、悔しそうに歯を食いしばる。 私は濡れた手を見つめ、わざとからかうように微笑んだ。 「……すごい量ですね。そんなに我慢してたんですか?」 「……っ……言うな……!」 川村は苦しげに声を絞る。 けれどその目には、羞恥と同時にどこか安堵の色も浮かんでいた。 私は彼の髪をそっと撫でる。 「安心してください。気持ち悪いなんて、思ってませんよ。むしろ……見せてくれて嬉しいくらいです」 「……バカ……」 小さく呟いて、川村は机に突っ伏す。 その背中がまだ小刻みに震えているのを、私は見逃さなかった。 次回は明日の9時投稿

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