「僕の赤ちゃんなのに！ 僕の赤ちゃんなのに⋯⋯！」 「誰か⋯⋯！ 誰か、来てくださいっ！ 姫宮さんが⋯⋯！」 「僕の赤ちゃんなんだから、子育てさせてよっ！」 狼狽える看護師に構わずに叫び、訴えていた。 「私は知りません！ 落ち着いてください！」と負けじと声を張る看護師に「知らないわけがない！」と言い返していた。 知らないわけがない。誤魔化すなんて卑怯だ。 ほぼ一方的な言い分に看護師と揉み合いになっていると、「どうされました！」と慌てた様子で先生らが駆けつけていたようだった。 どうやらナースコールで呼んできた様子であったが、愛賀にとっては関係ないことだった。 僕の赤ちゃんを返してくれるまで、この手を離さない。 だが、その間を入るように先生が無理やり引き離し、呆気なく離された愛賀はもう一人の看護師に押さえつけられ、それでもその腕から離れようともがく。 その抵抗も虚しく、腕にチクリとした一瞬の痛みがした後。 目を閉じた。 次に目を覚ました時は誰もいなく、独り。 虚ろな目から涙を零した。