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8.※発情期
自分しかいない白い空間は、暑さも寒さも感じなかった。
それなのに今日はやけにあつく感じる。
静かに扉が開かれる。
「姫宮さん、身体の調子はいかがですか?」
「⋯⋯」
「今日も食事をしてなかったそうですね。少しでも食べないと元気に──」
「⋯⋯──して」
口を僅かに動かした。
「えっ」と聞き返した時、ゆっくりと首を動かした。
「先生⋯⋯愛賀と子作りして」
「え、あ⋯⋯何を言って⋯⋯」
混乱している先生の首に手を回しては、強引に引き寄せ、薄く開いた唇に触れた。
啄み、それから掬うように 軽くキスをした。
しかしそれだけでは留まらず、主治医の顎を指先で添えながらも、その唇を舌でなぞるように舐める。
ちょっと、や、あっ、と何かを言いかけているようだったが、うっすらと頬を染める表情を見て、愛賀は頬を緩めた。
悦んでいる。
が、ぐいっと肩を掴まれ、引き離されてしまった。
「急に⋯⋯こんなことをしちゃダメじゃないか! 君は、一体何を考えているんだ」
「ダメなの⋯⋯? 愛賀は赤ちゃんが欲しいのに⋯⋯」
「欲しいからって、誰でもこういうことをするのかい? 今の発情期らしい君に⋯⋯ダメだろうっ」
「そう言って、愛賀のフェロモンに充てられて、こんなにも大きくしているのに⋯⋯?」
ズボン越しからでも分かる足の間のを悪戯に指で触った。
「⋯⋯っ、そこは、触らないでくれるかな」
「愛賀が優しく慰めてあげるよ?」
「⋯⋯っ、だから⋯⋯っ」
「ねぇ、いいでしょ⋯⋯⋯?」
潤んだ瞳で上目遣いで見つめる。
何かに耐えているように眉間に皺を寄せ、唇を噛んでいたが、そのうち根負けした主治医は短く域を吐いた。
「⋯⋯っ、それで君の気が済むなら⋯⋯」
「ふふ、ありがと、先生」
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