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「あ⋯⋯僕、僕⋯⋯」
「怖がらせてしまいましたね。急に主治医が代わってしまった上に行動を制限されてますし、さぞ混乱していることですよね」
「あの、僕、何か悪いことをしたんでしょうか⋯⋯」
「えっ?」
「朝起きたら、拘束されてましたし、でも何をしたか覚えてなくて⋯⋯」
目を丸くしたままの新しい主治医は、隣にいる看護師と目を合わせた。
何か変なことを言ってしまっただろうか。
「姫宮さん、発情期が来たことは覚えてますか?」
「発情期⋯⋯?」
それが来る時期になっていたのか。
でも、覚えてない。
辛うじて覚えているのはそれの前兆らしい、あつく感じられたこと。
「発情期の時は覚えてないタイプ、ですか⋯⋯」
独り言のように呟いた主治医がその時のことを教えてくれた。
発情期の愛賀が本能で求めてしまい、互いのために止むを得ずそのような措置に至ったという。
それがいつ起きた出来事なのかは分からないが、その際に最初の主治医と何かがあったのだろう。
どっちにしろ、自分が悪いことをしてしまったことに変わりはない。
「ということですので、こちらがいいというまでその状態となりますのでご理解頂けましたら」
「はい⋯⋯」
「今まで通りの行動は出来ませんので、テレビでも観て過ごしてください」
「はい⋯⋯」
傍らにいた看護師がベッドテーブルにテレビを置き、付けた。
付けた番組はちょうど情報番組のようで、皆真剣な顔をして議論している最中だった。
「この番組でいいですか?」と聞いてきたが、なんだっていい。どうだっていい。
「では、何かありましたらナースコールを手元に置いておきますので、遠慮なく仰ってください」
「⋯⋯はい」
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