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第12話

右から27、19、35、12。数Ⅱ、化学、物理、英語表現の点数である。 体育祭がおわって、学校は期末テストにはいった。いつも通り受けて、いつも通り、赤点で返ってきた。 「追試で合格できなかったやつは夏休み夏期講習に消えるからな〜」 担任の言葉にギク、と固まる。 それは、まずい。 俺はそもそも夏が嫌いだ。暑いから外に出たくない。それを、夏期講習になった場合、毎日学校に通わなければならなくなる。 去年の地獄のような講習期間を思い出して、さーっと顔が青ざめるのがわかった。 なんとかしなくては。 終礼がおわって、寄ってきた桜庭を涙目で見上げた。 「桜庭あ……」 なぜか、桜庭が顔を赤くして、ごく、と唾を飲み込む。 「ど、どうしたの?小山くん」 「勉強教えてくれ」 頼み込んだ俺に被せるように、百瀬が桜庭に抱きついた。 「湊〜! おれ追試ヤバいんだけど!」 後ろから、剣道と姫野が顔を出す。 「何で赤点取ったんだ?」 百瀬に剣道がきく。 「え、全部だよ?」 姫野が絶句している。 「え、姫ちゃんなに?そんな顔するなら勉強教えてよ」 「ええ、まあ、いいけど……」 姫野がしぶしぶ承諾している。 「小山くんは、何がだめだったの?」 桜庭に問われて、答案用紙を見せる。 「よし、じゃあ、今日はみんなで勉強会にしよう」 俺の答案に目を通した桜庭が、そう言ってぱん、と手をたたいた。

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