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第7話 まだ足りない
こめかみから汗が伝う。
孝弘は薄く開いた唇から熱い息を溢し、ゆっくりと炫の媚肉を暴いていく。
「あぁ、ん、もッ……早く、奥ぅ……！」
「ダメ。我慢、な」
「ひッ……どぃ……ぃあ、あ……！」
張り出したカリが前立腺をゆっくりと押し潰す。
丁寧に弄られ慣れていないからか、炫は迫り上がる快感に涙を流し、嫌々とかぶりを振って快感を散らしていく。
「あーあ。もったいねぇだろ」
ぐらぐらと煮えたぎる熱を溜め込んだその先に、極上の快楽の頂が待っているというのに。
せっかくの熱を散らしてしまうのなら、散らさないようにすればいい。
孝弘は左右に動く炫の顎を掴み、はくはくと酸素を求めて震える唇に噛み付いた。
口内に舌を捩じ込み、柔らかく舌で粘膜を舐める。
さっきは素通りした、炫の好きな舌の付け根しつこく嬲ると、鼻にかかった声が蕩け出す。
じわりと溢れ出す唾液を啜ると、ひどく甘く感じた。
(あっま……。俺が炫のよだれを甘く感じるなら、逆も同じ……か？)
ふと浮かんだ孝弘の疑問に、炫は答えられるほどの余裕があるようには見えない。
それでも、試さずにはいられなかった。
孝弘は滲み出る唾液を、舌を使って炫の口内に送り込んだ。
「んッ……む、ぅうう……ん……」
炫の喉がコクリと動く。
ピントが合わずぼやけそうになる視界には、瞳に恍惚を宿す炫がいた。
孝弘の疑問の答えに言葉はいらない。
炫の表情が、目が、すべての答えだった。
じりじりと炫の媚肉を焼いていた孝弘の剛直が奥に突き当たる。
切先で優しく捏ねるように腰を押し付けて揺らすと、灼熱の楔はうねる柔らかな肉に食まれる。
腰から広がる熱が気持ちいい。
孝弘の背筋に震えが走った。
「んぁ、あ、ぁう……お、奥、や、ぁ、ダメ、ぇ……！」
「なんで？ ここ、好きだろ？」
「ひぁッ……あ……⁉︎」
グッと強めに奥を突くと、炫は全身を跳ねさせて白濁を腹に飛び散らせた。
それは勢いが良く、腹だけでなく炫の顔まで飛んでいく。
ようやく迎えた絶頂に恍惚としている炫を見て、孝弘の情欲が燃え上がった。
孝弘は炫の腰をがっしり掴むと、その尻に腰を押し付けた。
奥の壁を突き上げるように強く腰を揺すれば、余裕のない嬌声が上がる。
「あ、やめっ……イッたばっか、てぇ……！」
「あ？ 好きだろ、イキまくるの」
「ちがッ、こんなんじゃ、なぃいいい！」
炫はまたも首を振って快感を散らそうとするが、孝弘がその顎を掴んでいるためにそれができない。
わかっているはずなのに、それでも涙を溢して快感から逃げようと孝弘の手を振り払おうとする炫がいじらしい。
「贅沢だな」
びちょびちょに濡れた腹は滑る。
やりにくいと思いつつ、孝弘は炫の下腹を掌底で押した。
「ひッ……あ、ああ、それッ、それダメ……！」
「説得力ねぇぞ、バァカ」
言葉とは裏腹に、炫の顔はとろりと溶けている。
あまりの気持ち良さに、口の端からだらしなく唾液が垂れて、汗とともに首筋を伝った。
もっと腹を押してほしいと言わんばかりの顔に、孝弘はふっと鼻で笑い、腰を腹側に突き上げる。
すると、孝弘の剛直と手に挟まれて圧迫された前立腺の刺激に耐えられず、炫はか細い悲鳴を上げてまた絶頂を迎えた。
不規則に収縮する媚肉が孝弘を締め付ける。
危うく孝弘も気をやってしまいそうだったが、まだそのつもりはない。
手に降りかかった炫の精液を指に纏わり付かせると、絶頂の余韻に浸りビクビクと跳ねる炫の昂りを躊躇いなく掴んだ。
強めに握った手を上下させれば、中がうねる。
それに合わせて腰を振って奥を穿ち、炫を揺さぶる。
「や、ぁあ、あ、まってぇ……！」
「待たねぇ、よ！」
ばちゅん、と一際強く腰を押し付ける。
その瞬間、孝弘の先端が炫の奥、そのまた奥を切り拓いた。
ぐぼ、と音が鳴ったような気がする。
(やっば……持ってかれる……！)
孝弘の剛直が炫の秘部の最奥を貫いた。
その入口をグポグポと出入りしながら、炫の昂りを握った手を激しく上下させる。
「ほんと、まってッ……でるッ……でるからぁ！」
「遠慮せずどうぞ？」
「ばかッ、ぁ、ああああああ！」
プシャ！
孝弘を罵倒する炫の昂りから透明な雫が噴き出した。
孝弘の腹も、炫自身の体も、皺が寄ってぐちゃぐちゃになったシーツも、炫の放った潮でびしょ濡れだ。
快感に溶けた炫の顔には、羞恥が差している。
潮を吹いたことが恥ずかしくて死にそう。
そんな顔が、孝弘の一番のお気に入りなのだ。
「もっとだ」
まだ足りない。
もっと、もっと、その顔を見せてほしい。
その瞳に、孝弘以外が写ることがないように。
「や、あ……タカヒロ……！ 好き、好きぃ……！ね、ねぇ、キス……ッキスしてぇ！」
再び腰を動かし始めた孝弘に揺さぶられ、炫が咽び泣く。
可愛くおねだりする炫に応え、孝弘は唾液で濡れる唇に噛み付いた。
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