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第7話
そして、都会で学んだのは“遊び方”もだ。
同性との性行為なんて、と思っていたが、案外具合が良い。
というか、自分に偏見がないことに驚いた。
そりゃ、誰だって気持ち良いことは好きだ。
好きだけど、ケツに突っ込むなんて…と思っていた。
けど、それを上回る快感に嫌悪感は消えていた。
女も男も行為をするなら関係ない。
その身体の良さがある。
甘い行為の対価は、なんだったんだろう。
「こ、ん…っ、そこっ………」
「もっと自分からもケツ降れよ、ビッチ」
「あ゛…っ」
「喜んでんのかよ。
ほら、ケーツ」
パシッと尻朶を叩くと、キュッと締まるアナルが最高に気持ち良い。
キスだって気分が盛り上がるスパイスだ。
「紺、また遊ぼうな」
「また叩かれてぇの間違いだろ」
「叩いてくんねぇの?」
「お願いします、は?」
女のやわらかな身体も良いが、男の締まった身体もまた魅力的だ。
違った刺激に、スワッピングをすることもあった。
堕落した生活のようで、そうではない。
勉強もした。
装飾の為にバイトも沢山した。
「ねぇ、紺。
今度は、ここのラブホ行こう。
このお風呂一緒に入ろうよ」
「今、遊園地に居るんだよな?
アトラクション乗るのに並んででんの。
耳付けて」
「今日でも良いよぉ」
「そんな体力残さねぇだろ」
「まぁね」
腕に胸を押し付け甘えてくる甘いにおいを纏う女の髪を、そっと撫でた。
キラキラ光るネオンの街も、クラブの喧騒も、もちろん最高だった。
けれど、友人と河原で他愛もなくバーベキューをしたり、遊園地で馬鹿みたいに絶叫したりする、そんな“当たり前”のことが、俺にはなによりも眩しかった。
都会での生活は、俺にとって大きな刺激であり、限りない自由と“楽しいコト”を教えてくれた。
その全てを、俺は貪るように味わった。
それこそ、酸いも甘いも。
そうして、はじめて生きている感覚を知った。
それでも、その“楽しい都会”から地元に戻ることを決めた。
それ以外の生き方を自分が拒否したんだ。
藍を守ること。
藍の美しさを未来へと手渡すこと。
それが、したかったから。
だけど、本当にそれで良かったのだろうか。
強く地面を踏み締めていないといけない感覚がある。
星空の下、手首の内側に咲く藍の花をなぞった。
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