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第14話
1度自宅へと帰宅し、適当な服に着替える。
刺青が見えても気にすることもない。
半袖からタンクトップへと着替え布面積が減ったことで、快適さが増した。
着替えの際の楽さに、ピアスを外していたことを思い出した。
つけとくか
だが、ポーチへと手を伸ばした手は空ぶった。
ポーチがない。
確かに、ポケットに入れたはずだ。
ない…?
落とした……
どこでだ。
今日は事務作業をして郵便局に寄って、それから図書館にポスターを貼りに行った。
その道中でいつものようにピアスを外して、ポーチに入れた。
落ち着け…
ゆっくり思い出せ…
並木道で音がしたはずだ
ポケットの上から触ったのは確かだ
なら、どこで…
部屋のドアを閉めることもせず、家を飛び出した。
近所の誰かが拾えば、藍の色と名前から自宅か工房に届く。
なら、探すしかない。
吹き出す汗にも構わずに、歩いた道を遡る。
「あら、紺ちゃん。
どうしたの」
「ポーチ落として…」
「ポーチ?
どれ、おばあも探すよ」
「駄目。
ばーちゃん、熱中症になったらやばいって。
拾ったら家か藍屋に届けてくれたら良いから」
「そうお?」
「そう。
早く家帰って、涼しくしてな」
近所の人の目も気にせず、地面を膝を付いて植え込みの下も確認する。
あのポーチは…
あのポーチだけは…
『紺、綺麗な色に染められたね』
『きれー!』
『紺の色だね』
『うんっ!』
『妹の藍華だよ。
仲良くしてね』
『あいか?
こんとおなじいろだ!』
踏ん張る足がぬかるむようだ。
俺は、こんなに弱い。
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