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第9話
しばらく期間が過ぎて圭吾の会社のプロジェクトが終盤へ、忙しさにも拍車がかかり残業時間が長くなっていた。
そんな圭吾を心配し、弁当に栄養があるものをたくさん詰めこんで渡していた。
朝出勤する時間が早くなり帰るのが遅くなる。
時には休日出勤をしなければならないこともあった。
そんな毎日が続いたある日、とうとう圭吾は倒れてしまった。
光希は慌てて救急車を呼んで病院へ行くと大事には至らなかったが過労で倒れたことが分かった。
救急車に乗っている途中、光希は救急隊員からの質問攻めにあっていた。
「貴方とこの方のご関係は?」
「友達…?どう、きょにん?です。」
「パートナーではないと言うことですか?」
「はい…。」
ベッドで点滴を打たれ寝込んでいる圭吾を見て光希は自分の無力さを知った。
自分はただのヒモ。
経済的な面では支えてやることが出来ない。
光希はある決断をすることになった。
しばらくして、プロジェクトも安定してきた頃、光希に異変があった。
光希がコンビニバイトをし始めたのだ。
どういう風の吹きまわしか聞いても「俺も仕事したら経済的に楽じゃん?」しか言わない。
正直、コンビニバイトをするのは本人の自由だが圭吾にはひとつの不安があった。
それは「金を貯めて出ていこうとしているのではないのだろうか」ということ。
前回、前の居候先の男が来た件について未だ未練があるのだろうか?
それとも、もう自分との生活が嫌になってしまったのだろうか?
など色々考えた。
もうこうなったら気が気ではない。
圭吾は光希に話しかける。
「最近随分バイトを頑張っているんだな。」
「うん!最近ようやく一人でレジ打ち出来るようになって店長に褒めてもらっちゃった~。」
「その、なんでやり始めたんだ?金なら俺が出してやるのに…。」
「も~、前も言ったじゃん!俺も金稼いだらもっと楽になるじゃん。」
圭吾は思いきったことを言い出した。
「バイト辞めたらどうだ。」
「なんで急に…。」
「金なんて俺がいくらでも稼いできてやるから!」
「それじゃあダメなんだよ!」
だんだんとヒートアップする。
「何がダメなんだ!今までのお前ならそれで良いと言ったはすだ!」
「俺には俺の理由があんの!今さら辞めろって言われても辞められない!」
お互い肩で息をする。
しばらくの沈黙の後、圭吾はスーツの上着を羽織り一言言った。
「今夜は筑前煮がいい。」
バタンと玄関が締まると光希は静寂と共に取り残された。
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