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第3話 求めるべきか
ここで俺は忘れていたことを思い出す。
「そういやさ、ちょっとこれ見てくれよ。」
Tシャツをダメにした後着替えていたシャツのボタンを外していく。
「!!!」
「ほら、ここ。真っ赤だろ。これさ、ちょっと横になったままコーヒー飲んでたら溢しちゃって。こんなに火傷しちゃったわけなんだけどさ。」
ここで俺は一呼吸置く。
「なんかさ、胸と胸の間だけ火傷ってさ、胸もないのに、変じゃない?」
「!お前っ。いや、胸なんて気にすんなよ。お前はお前だ。俺は胸なんて気にしない。って、何言ってんだ、俺は。それよりも大丈夫なのか、痛々しい。」
「いや、痛いのは少しくらいなら・・・いやいや、そうじゃなくて・・・俺は筋肉と脂肪の話をだな、いや、こういう言い方はよくないかな。俺の胸は筋肉だと思う?脂肪だと思う?触っていいから、どう思うか教えて欲しいんだ。それで、雄也の胸も触らせてくれないかなw変なこと言ってごめん。」
コイツは優しいから、脂肪しかないじゃん、と思いながら、筋肉だね、と言ってくれるかもしれないし、自分でも比較したい。
「も、もちろん触らせてもらうよ。その後で俺のも触ってくれ。いくらでも気が済むまで大丈夫だから。・・・もう少しはだけてもらっていいかな。そう、そんな感じでーーー、っいや、いや、全部はボタン外さなくていいから。そうそう、そのくらいで。」
ハァ、ハァ、と変な息遣いが聞こえてくる。
「触るよ・・・、ここまで赤いと痛そうだな、病院行ったのか?海都のことだから、行ってないんだろ。」
さわさわと優しい仕草で俺の体を撫で回していく。
「んっ、、、」
「変な触り方するなよw撫で回すんじゃない!ああ、もう!」
ぐいっとシャツを広げて、俺は雄也の視線を胸に向かせる。
「ちゃんと触って!」
雄也の視線が下に下がる。
ん?お前どこ見てんだ?
「ああ、もういいよ、下向くことないだろ、そんなに恥ずかしがらなくったって良いのにー、じやあ、雄也の胸が見たいな〜。お前の鍛えられた筋肉触らせてー。」
「恥ずかしかったわけじゃなくて、ちょっと確認をだな・・・俺がもう少しテクがあればよかったんだよな・・・いいよ、わかった、先に俺の体を堪能してくれ。」
「雄也、堪能ってwwwむっちゃ自慢かよw」
「しかも、ちょっと触って、って言っただけなのに、テクとか、何言っちゃってんだよ。」
「あーあ、海都ってば、煽る気?人がせっかく海都のペースでいこうとしてたのになー。」
今までに見たことがないような笑顔で、雄也の手が伸びる。
「んっっ、、、ちょっ、その手つきなんか、、、ちょっと待って!」
「ん?どうかしたか?かわいいなぁ、海都。」
「いや、だからちょっと離れて、って、、、いや、ほんと、お願い、、、なんかお前エロくない?w何かのスイッチ入った?かわいいってなんだよ。」
半月のような目をした雄也なんて見たことなかったのに、どうしたんだ?
なんか薬にでも手を出してんのかな、キモいぞ、こいつ。
本当に薬ヤッてたら、もう関わるのはなしかな。
「照れてるの?海都の照れたところ見られて、嬉しいな、俺がこの顔をさせたんだもんな。もう俺だけの海都でいいよな。」
「いや、なんかお前怖いし・・・どうしたんだよ。酔うほど飲んでないよな?なんかヤバいものに手を出してる?w」
「俺を酔わせるのは海都だけだ、ヤバいものになんか、手を出さない。いや、海都自体ヤバいのか、こんなに俺の脳を支配して・・・責任とってくれよ、海都。」
さわさわと撫で回したあと離れていた手が、再び俺の胸に到達する。
きゅっ!!きゅっ!!
「んあっっ?!お、お前何を、、、何してんだよ。」
きゅっ!!きゅっ!!
「や、やめろ、俺は男だー、そんなーーー」
きゅっ♩きゅっ♩
「あ、ちょっと、、ほんと、手を、、、んっっ。」
ちゅっ、ちゅっ。
「あっっ、馬鹿、何して、、、あっっ。」
「雄也、お前、ふざけんのもいい加減にしろー!手を離せっっ!」
涙目になりながら俺は雄也に訴える。
「離していいの?俺の頭を抱えているのは誰なんだよ?そんな至近距離から涙目で?」
にやっ、とした顔がムカつくったらない。
「くそっ、ふざけんな、お前!!!」
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