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LESSONⅦ:第69話
「ボクだって、雅紀さんと一緒にホテルへ行きたい……よ」
はやく雅紀と身体を繋いでしまって漣音に追いつきたい。
キスだけではなく自分のすべてを雅紀で埋めて欲しかった。
「ナギサ……反則だ。そんな恥ずかしそうな顔で呟いたら」
雅紀はなにかを必死に堪えるように唇を噛みながら、目をナギサから逸らしながら手を内腿に滑らせる。鼠径部に触れるか触れないかの寸前を行ったり来たりと手のひらは動いた。
ほかの車はほとんど走っていない。
ときどき軽トラックがゆっくりと前に現れて速度を落とさなければならない程度だ。
運転しながら雅紀の手の動きを感じてしまう自分が恥ずかしい。
下半身が隆起してゆくのが、いやでも分かった。きっと雅紀もそのことに気づいているはずだが、その部分には決して触れてくれなかった。
満たされない欲求がアクセルを加速させる。
「おい、スピード出すぎじゃねぇか?」
「雅紀さんがボクをそうさせたんだよ?」
ナギサがそう告げると車も排気音をさらに高めて見通しのよい一車線の道をひたすら海に向かって走り切った。
シーサイドラインへ出ると道なりに緩やかなカーブが続く。ハイシーズンではない海辺にはほとんど人がおらず、一台も停まっていない公共駐車場へナギサは車を停めた。ドアも窓も開けていないけれど、波の音が車内へ入り込んだ。
波音は乱れた心を落ち着かせようと努めた。
深呼吸をして、エンジンを切る。そのまま外へ出ようとドアを開けると雅紀が「待って」とナギサの左腕を掴んだ。
「ホテルに行くまで我慢できそうにない」
運転席と助手席のあいだにすこしの隔たりがあるが、ナギサは強引に抱き寄せられて、雅紀の腕の中に上半身は収められた。
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