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LESSONⅧ:第77話

 海水浴シーズンにはおそらく混雑する宿も、季節外れの平日は宿泊客はほとんどおらず、大浴場は貸し切り状態だ。  まず全身を洗い、内湯で身体を慣らしたあと、露天風呂に入った。ついたてに小窓があり、開けると海が見える。 「誰もいない露天風呂は最高だな」  小窓から海を眺めていたナギサは背後から雅紀に抱き締められて両太腿の上に乗るように促される。 「ちょっと、恥ずかしいよ……子供じゃないんだし」 「隣に並ぶより、ナギサと触れ合う面積が増えるから」  左耳の先に唇が触れたと思ったら、舌先が首の付け根から鎖骨のくぼみまで細い道を描きながら滑らかに這う。  彼の右手で両胸を交互に弄られて身体をぴくりと跳ねさせてしまった。  触られる前からその先端はしっかりと固く尖っていたので、温泉で濡れた指で弾かれると抑えきれない声が口から漏れる。 「そんな声出したら、ナギサの声、よく通るから外まで聞こえちゃうよ?」 「だって声が……か、勝手に出ちゃう……の。おかしいよね……?」 「おかしくないよ。でもさ、そんな声が出ちゃうのは、好きな人に触られたから? それとも単純に胸が敏感なの?」  その答えは簡単だ。悩む必要などひとつもない。質問をぶつけるあいだも雅紀はナギサの胸の尖りをつまんだり、なでたりを繰り返す。 「りょ、両方……かな」  ナギサは背後の彼を振り返りながら言うと雅紀の唇が近づいて重なる。  すぐに離れることはなく、唇を吸われる音が響いた。  いま雅紀に自分の唇を奪われて身動きが取れないという事実はナギサの心地よさを後押しする。さらに誰かが聞き耳を立てているかもしれない想像は快感の波を増幅させた。  身体ごと雅紀のほうへ向き直して抱き合い、ナギサも雅紀の唇へ自分の唇を強く押しつけた。 「ナギサ? キスしかまだしてないのに……とても硬くなってるぞ」 「な、なんで分かるの……?」 「だってこっち向いて抱き着くから、俺の腹に当たってるの。唇を吸われるのが好きなのか?」  触って欲しくてナギサは無意識のうちに雅紀の身体に硬くなったそれを擦りつけていた。  勝手に腰が動いてしまい制御できずにいる。  その動きに呼応するように雅紀は同じように硬さを増したものをナギサのそれにぴったりと沿わせた。抱き締めるように雅紀とナギサは絡み合う。  ナギサはもっと先に進みたい気持ちが込み上げて、自ら雅紀の舌を探すように前歯の隙間から舌先をねじ込んだ。 「ナギサから俺を求めてくれるなんて、もう、止まらなくなっちまう」

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