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LESSONⅧ:第78話
もどかしく不器用に口内を駆けずり回るナギサの舌を雅紀はリードするかのように絡ませた。それはあまりにも優雅で甘美で、口のなかに快感のスイッチがこんなにもあることをナギサは初めて知った。
そう思ったのもつかの間、寄り添いながら擦り合わせていたお互いのものを雅紀の手のひらに包み込まれる。ふたつの硬いそれは同時に扱かれ、ナギサはそういう愛し合い方があるなんて驚きを隠せなかった。
「な、なにしてるの? 手のひらも雅紀さんの硬いところも先端に当たって……気持ちよすぎ……」
「だろ? 何度こうしたいと想像したことか。一緒に気持ちよくなれる日が来るなんて……思ってもみなかった」
男同士の性器をこすり合わせることを気持ちいいと知っていた雅紀に、ナギサは漣音の影を感じずにはいられなかった。きっと漣音ともこういうことをたくさんしていたのかもしれない。
「ねぇ……ただ、擦り合わせているから気持ちいいの? それともボクのだから気持ちいい?」
さっき雅紀に尋ねられたお返しのように聞き返す。
「そんなの答えるだけ無駄だ」
熱く溶け合うようにふたりの硬いそれは擦れ合う。まるでひとつになってしまうかのように雅紀の手のひらに包まれている。上下に動かす速度が上がり、ナギサは自らさらに快感を得ようと腰を動かしてしまった。
「そんな悲しそうな顔で求めるなよ。もっと、もっとナギサを気持ちよくさせたくなるだろ?」
「だ、だってボクにとって、雅紀さんが初めてだから……こういうことするの。でも雅紀さんは違うでしょ。だからその距離を埋めたいの」
ボクが言葉を途切れ途切れに告げると、雅紀は真剣な表情で眉をひそめた。
「ちょ、ちょっと待て。それ以上動いたら、もっとナギサのことをこの場で欲しくなる」
溶けてしまいそうな瞳で雅紀を見つめていたナギサは雅紀に抱き寄せられて動きを封じられた。
「のぼせる前に、あがるぞ」
肩で大きく息をしている雅紀の膝から下ろされる。
クールダウンするかのように丁寧に身体を洗われたあと浴場を出た。長湯をしたせいかふらつく足元で脱衣所に向かうと、雅紀はバスタオルでナギサの身体を包み込んで拭いた。
「なぁ、ナギサ。浴衣を着るのに、大きいままだと、バレるぞ」
「もう、分かってるけれど、収まらないの。雅紀さんのせいだからね。恥ずかしいから部屋に戻りたいよ」
これ以上、あふれそうな欲を我慢することができない気がした。収まる気配のない下半身の疼きを満たされたくてナギサは精一杯に誘ったつもりだった。
一秒でも早く抱いて欲しい。
他の欲求などすべて抱きつくされたあとでいい。
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