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LESSONⅧ:第80話
「うわぁ、贅沢な切り身がいっぱい」
「そういえばナギサと外で食事するのは初めてかもしれないな」
「いつも部屋でしか会わないからね。誰かと食事するとご飯がさらに美味しくなるよね」
雅紀は、そうだな、と満足そうにナギサが食べ物を口へ運ぶ姿を一挙一動見逃さないと覚悟を決めたかのように見つめている。
「ねぇ、雅紀さん。初めて一緒に外食するからってボクのこと見過ぎじゃない?」
「だって美味しそうに食べる姿も可愛いからさ。見るなと言われても見る自信あるぞ」
可愛いと雅紀に言われたナギサは顔を上げられないくらい照れて俯く。
ひとりで食事をしていたころはそんなことを言われるなんて思ってもみなかった。
もうあのころに戻りたくない。雅紀とずっと一緒にご飯を食べる関係になりたい。
「これからは……いつだって、見ることができるんじゃない?」
恥ずかしさで雅紀の顔を見ることができないナギサは精一杯の愛情表現をしようと必死だった。
「それは俺と一緒に住んでくれるってことなのか?」
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