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LESSONⅧ:第84話

「気持ちいいんじゃないか。そんなに腰を動かすなんて」 「違っ、違うの!」 「違わないよ、ナギサ。俺の口の中にいっぱい美味しいものがあふれてるのが証拠だ」 「へ、変な言い方しないで! もうっ」 「ナギサから発するすべてのものは、俺にとってはご褒美で、ごちそうだぞ?」  雅紀は真面目な顔で言いながら、自分では知らない大きさに屹立しているものから唇を離した。 「や、やめないで……」  跪いて舐めていた雅紀が立ち上がり、打ち寄せられ続けていた快感が沖へ引いてゆく。 「気持ちいいとか分からないのに、もっと舐めて欲しいのか?」  意地悪な口調でナギサの耳元で囁く。あと少しで腰の奥から溜まりにたまった欲望が解き放たれそうだったので、ナギサはもどかしくてしかたない。  性欲なんてほとんど日常で感じなかったのに、雅紀に触れられた身体は異常なまでに欲に支配されている。 「も、もっとして? 雅紀さん……」  自分がいまどんな顔をして雅紀にお願いを乞うているかなんてまるで予測がつかない。もしかするとファンたちがいう小悪魔ようにいたずらな顔かもしれない。  雅紀は目を見開いたまま、動きが止まっている。 「ダメなの? もっともっと雅紀さんと一緒に……したい」 「ナギサは、これだから……たまんねぇよな」  部屋の壁に身体を打ち付けられて、雅紀は最初のキスよりも何倍も強く唇を押し当てた。自分の唇を埋めてしまうかのように。  そのまま壁に沿ってベッドがある場所まで唇を繋げたまま移動した。パリッと綺麗にメイキングされている純白のシーツへナギサは勢いよく押し倒される。 「わっ」  スプリングの効いたベッドに倒れ込み、はずみで脚を両側へ開いてしまい、浴衣は思いっきりはだけてしまった。

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