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LESSONⅨ:第96話
「そうだな。ちょっとだけ頬が桃色に染まって、しっかり上がった口角と小さくのぞいた八重歯が可愛いんだ。見ている俺まで、あー、よかったなぁって思うんだよ。ナギサがそんなに嬉しいなら、俺も嬉しいなぁって」
誰かを喜ばせることができる自分がいまなら少しだけ自慢できる気がした。鏡を見ることもあまり得意ではなかったけれど、雅紀が幸せになってくれる笑顔は、きっと自信を持っていいだろう。
「そういや、昨日、ポストに漣音から手紙が届いていたぞ」
「雅紀さん宛て?」
「いいや、宛名はナギサだった。教えたのか? ここで俺と住むことを」
思い当たる節がなく、首を捻った。
漣音とは空港以来、連絡を取っていない。
でもきっと漣音なら分かったのだろう。ナギサが雅紀と一緒に住む行動に出ることを。
現に、漣音自身もこの部屋に住んでいたのだから、誰かに優しくされると弱いことはお見通しだ。
雅紀は席を立って、届いていたという封書を渡してくれた。
中を開けると、一枚のポストカードが入っている。
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