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「大河⋯⋯?」 何をしているの、ときょとんとしていると抱きしめる腕の力が強くなり、そしてまた頬擦りした後、顔を上げた大河がバンザイのポーズをして訴えていた。 これは抱っこしてという合図だ。 また急にどうしたのだろうと疑問を抱きつつ、そうしてあげると首筋辺りに顔を埋めたのだ。 「ちょっ、と、大河、くすぐった──っ」 ビクッと肩が跳ねた。 あろうことか首輪を覆ってない箇所を思いきり吸い出したのだ。 「まっ、たい⋯⋯っ、ん⋯⋯」 制止の声は届かず大河はこれでもかと吸っていた。 一旦下ろそうにもがっしりと首に手を回され、その意外な力に圧倒されていた。 けれど、今すぐ引き離さないと変な声が漏れそうだった。 こんな恥ずかしい声、大河に聞かせたくない。 「大河⋯⋯っ、止めて⋯⋯」 「ほら、大河さま。ママさまがだめって言っているんだから止めないと」 ビクッと大河が跳ねた。 急にどうしたのだろうと思い、様子を伺っているとやってきた小口が大河の脇をくすぐって、動きを止めさせたのだ。 声が出ない大河は上げることはほぼ皆無に等しいが、それでも掠れた声らしい声に身を捩り、それから逃れようとしている隙を狙って、小口が抱き上げた。 腕の中で暴れても危ないと判断したらしい彼女の気遣いに、「ありがとうございます」と言った。 「いえいえ、裸を見ようとしたり、匂いを嗅ごうとしたり、いくら大好きだからってそんなとんでもない性癖になる前に阻止をしなければならないと思いまして」 眠たそうな目で淡白に話す傍ら、彼女の腕の中で暴れる大河のことが気がかりで色々と訊きたいことがあったが、それどころではなかった。

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