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第17話 さ、三度目!?

「勇者様召喚の日程が決まったみたいですよ!メグル殿!!」  ミウェンが嬉しそうに巡に報告してきた。 「ザックさんの魔力暴走はその日まで抑えられそうなんですか?」 「ええ、魔導士総動員で封印魔法をかけられていましたから……日程までは今まで通りに過ごせるようですよ」  勇者召喚に必要な多量の魔力をザック一人に頼ったアルストリウルスは、ザックの魔力の暴走を抑えるために魔力封印することにしたようだった。  そんなことになるなら魔力の受け渡しはまだ先でもよかったのではないかと思ったが、魔力の受け渡しが完了していなければ日程のめどが立たなかったのであろうから自分が間違って勇者の代わりに来てしまったことで大変なことになったものだなと巡は思った。  バリヤは今日は騎士団の方へ顔を出しているようで、ミウェンは巡がザックに呼び出されたとのことで巡に付き添ってザックの部屋へと顔を出していた。 「君、元の世界に戻れないかな!?」 「え!?!」  唐突にまくしたてたザックに巡はたじろいだ。 「君がこの間拾ってきた魔道具の魔法陣を見て思ったんだ。この世界では他の世界へ行く魔法はまだ無いけれど、召喚魔法ならあるってこと。君の世界には魔法も魔力も無いって言ってたけど、この間の魔道具みたいに背面にでも魔力を詰め込んで君の世界に持っていけば、魔法が使えるんじゃないか!?と思ったわけ。で、君に君の世界で召喚魔法を行ってもらう。そうすれば僕が他の世界へ行くこともできるんじゃないか?と考えたわけなんだ」 「いや……召喚された日に散々懇願しましたけど、元の世界に戻る魔法なんて無いって言われちゃいましたよ」 「そりゃ、他の世界に行く魔法が無いからだね。でも君、元の世界に戻れるんじゃないの?」 「えっ……」  そんなわけがない。  この世界には前の世界で死んで、ついでに魔法陣に囲まれて来ているのだ。 「でも、異世界から異世界に飛ばされるなんて、よっぽど君が召喚されやすい体質じゃないと成り立たないよ」 「いや、召喚されやすい体質なんですよ……」 「まあ、そういうもんか」  やけにあっさりと引き下がる。  怪しい……と思いつつも、ザックに疑問に思ったことをぶつけてみた。 「そういえば、なんで異世界から召喚する魔法はあるのに異世界に行く魔法はないんですか」 「ああ~、それはね、他の世界がいくつ、どこにあってどんな生命体が暮らしているかなんて誰にもわからないからだね。  例えば僕らは勇者召喚を行ってるけど、指定してるのは”勇者”に来てほしいってところだけで、その勇者がどこの世界から来るのか、人間なのか獣人なのか魔人なのか、ってことも何もわからないんだよ。  君が元の世界に帰る方法がないっていうのも、もし君の世界から勇者が来るのがわかってるなら、交換魔法でも使って勇者と君の交換を行えばいいんだよ。でも実際は勇者はAの世界から来るかもしれなくて、君はBの世界から来た人間かもしれない。交換してしまったら、君は元の世界に戻れないうえに、そのときどこの世界に居るかもわからなくなってしまって困るでしょ。  だから君が元の世界に戻る方法がわからないってわけ。  僕だって他の世界に行ってみたいけど、例え他の世界に行ったとしても、この世界に帰ってこれないのは困るし、どこに行くかもわからないなんて怖いじゃないか。  君の世界なら平和そうだし、魔力や魔法が無いなんて言うから、逆に魔法の研究の余地があって行ってみたいな~なんて考えちゃったんだよ」 「そ、そうなんですか……」 「でも、君が本当に召喚されやすい人間なら、また他の世界に行ってしまうのも時間の問題かもしれないね」 「人が不安に思っていたことを……」  そこでストップをかけたのはミウェンである。 「あのお、少々お話が見えないのですが……、メグル殿はこの世界の魔力の均衡を保つためにこの世界に召喚されたのではなかったのですか?  どうして他の世界に行ってしまわれるなどという話に……」  それに答えたのはザックである。 「ああ、言ってなかったっけ。彼は既にニ度異世界に召喚されていて、ここへは三度目の異世界らしいんだ。  で、元居た世界には帰れてないらしいよ」 「さ、三度目?!」 「勇者じゃなかったにしては忙しい身だよね」 「た、確かに……!それほどまでにメグル殿のお力は他の世界でも必要とされているのですね。  魔王や魔物が誕生してしまってはどこの世界も困りますものね……!!」  よくもここまで綺麗に良い方に勘違いしてくれたものである。  と、思い出したかのようにザックが言い出した。 「そうだ。僕の魔力封印が長くは持ちそうもないから、勇者召喚の日程が2日後に早まったんだよ。  で、魔力を解放した時に僕が魔王にでもなっちゃったら困るからさ、召喚の儀が終わるまではバリヤとメグルにはなるべく僕と一緒に居てほしいんだよね」 「2日後!?」 「早いよね~」

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