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第22話 こども!?

「人の形のままでも喰えるが」 「え?」 「人間の姿のままで魔力を喰えばいい」  バリヤが静かに言い放った。 「人間の姿のまま魔力を喰うって……一体どうするんですか」 「今度は手だけじゃなく、肌の触れ合う面積を増やして魔力の流れの急所である首元を噛む。そのまま魔力を俺が喰う」 「首って、魔力のというか普通に人間の急所ですよね」 「嫌ならスライムの状態で喰うが」 「いや、手を繋いで受け渡すのだとダメなんですか?」 「魔力量の半分なんて、手だけだと時間がかかりすぎる」 「いや、いやいやいや!!だからってそんな!!」  拒否しようとする巡に、今度はザックが言った。 「大丈夫だよ。こんな見た目だけどスライムには生来、性別は無いから。僕の魔力の自我でこの姿になってるだけで、女性に変身することもできるよ」 「そういう問題じゃないですよ!」 「スライムのまま魔力の受け渡しをするのが一番早いんだけどね。僕みたいに」 「あれはアンタだからできるんでしょう!あんなの普通の人間には拷問ですよ」 「まあ、僕はエルフだから耐久性が違うのかもね。魔力の受け渡しをしてて窒息して死にましたなんてお笑いにもならないからね」 「でしょう!ですよね!!俺、多少時間がかかっても手と手で魔力の受け渡しをすべきだと思うんです!」 「時間は短ければ短いほどいい」  バリヤが言った。 「いや……肌の触れ合う面積を増やすって……言ってる意味わかってるんですか?」 「本当にやっちゃうわけじゃないじゃん。キスと愛撫くらいのもんだよ」 「わかってんじゃないですか!」 「でもバリヤはスライムだよ?」 「関係ないですよ!!俺が人間なんだから!!」 「でも、バリヤは君のことを守ってくれるよ?」 「うっ……」 「魔力さえ渡せば俺が貴様を守ってやる」 「うっ~~~!!カッケー!!!守ってくれるんですか!!」 「よし、解決だね」  そうと決まればと、ザックは巡とバリヤを自分の寝室へ押し込んだ。  十数分後。 「ザッ……ザックさあああん!!」  巡の叫び声が部屋に響いた。 「バリヤさんが……!!バリヤさんが……!分裂しました!!」 「へ??」  寝室から飛び出てきたのはローブを脱ぎ捨て上半身裸の巡と、同じく上半身裸のバリヤだ。  巡の首元には軽く噛み跡が付いていた。  バリヤの肌は紅潮し、息が荒れている。  そして巡は人間の姿のバリヤとは別にスライムを手に持っていた。 「バリヤ様!!メグル殿、どうしたんですか」 「どうしたの、バリヤ」  ミウェンとザックが一斉に質問する。  ドゥルンと巡の手の中で踊るそれは、まごうことなきスライムだった。  若干スライム自体の意思を感じさせるように、ドゥルンドゥルンと動き続けていた。 「バリヤ、メグルと触れ合って快楽を感じたのかい?」 「ああ」 「それでこのスライムは……」 「えっ……バリヤの分身じゃないの?」 「分身??」 「早いとこ言っちゃえば、君とバリヤの子供だよ」 「こども!?!?スライムに子供なんかできるんですか!?というか、子供ができるようなことはしていませんが!?」

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