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第24話 年上!?
「7歳だった!!」
「どうしたのですか、メグル殿!?」
巡の突然の大声にミウェンが驚く。
「いや……俺、先日告白したの、ミウェンさんも見てましたよね。でもあの……バリヤさんって7歳の疑惑があるの、知ってます?」
「スライムは放っておけば平気で50年100年生きてるようなモンスターですから本当に7歳というわけではないと思いますが」
分裂もするのでどれが本体か迄を含めると200年くらいは普通に生きていますし、と言うミウェン。
「でもザックさんの魔力で自我が芽生えたのは7年前らしいんですよね。これって合法だと思います?」
「ご、合法て……バリヤ様は自我の人間化であの見た目なので気にしなくても良いのでは」
「7歳にしちゃ歳食ってますよね。絶対俺より年上だと思いましたもん」
「あれ?そういえばメグル殿は一体何歳なのですか?」
「俺?俺は25歳です」
「えっ」
ミウェンが絶句した。
「と、年上!?」
「えっ……ミウェンさんは何歳なんですか?」
「22です。まさかそんな、メグル殿が年上だったなどと考えもしませんでした。ご無礼をお許しください」
「いやいやそんな……俺ってそんな歳に見えませんか?」
「いえ……言われてみればそう見える気もしますが、若いというより幼いような……」
だって童貞だもの。
本当にその辺、精神的にも子供だもの。
とは言えなかった。
ザックが勇者に同行する日がやって来た。
なんと勇者は対モンスターへの強さを兼ね備えているだけでなく、あの聖剣さえあれば瘴気の浄化まで行えるらしい。
ザックの部屋の前に集まった一同はザックへと別れを告げる。
「バリヤ、メグルを守ってあげてね」
「ああ」
「いってらっしゃいませ、ザック様」
ザックの門出をバリヤとミウェンが見送る。
巡は自分と本物の勇者との違いに圧倒的な差を感じながら、ザックを見届けた。
「お元気で……」
「いや暗ッ!!僕今日遠征に行くだけで明日には帰ってくるんだけどね!!」
暗くなる巡にミウェンが話題を持ちかける。
「そういえばメグル殿、バリヤ様に好きになってもらうと仰ってましたが何かする予定なのですか?」
「ハッ……」
「……!?」
「忘れてた」
ミウェンと巡は、巡がザックの魔力の受け皿としてこの国、アルストリウルスに認められた日からずっと一緒に過ごしている。
当初ミウェンは巡のスケジュール管理などを行うと言っていたが、ザックの魔力の受け皿になったからといって他の国の、魔力の大きな人の受け皿になれと言われるようなことも無く、他の国に呼び出されることも無く、ミウェンとは平平凡凡な日々を共に過ごす同僚という感じだ。
神殿に仕える者たちの館に戻れば各々自分の部屋で過ごすが、ザックの部屋を訪れたり、採掘に行ったりなど外出時は常に一緒なので巡はミウェンといる時は大きな隙ができるようになっていた。
ザックが出発して間もなく。
「俺は第三兵団の訓練に戻る。何かあれば召喚しろ」
「ハイ」
「いってらっしゃいませ、バリヤ様」
バリヤが巡たちの元を離れた。
ミウェンと二人きりになった巡はフーっと息をつき、大きく伸びをした。
「行っちゃいましたね、ザックさん」
「そうですねぇ。メグル殿は第三兵団の訓練の見学にでも行かれますか?バリヤ様のことを知りたいでしょう?」
「えっ……まぁ、そうですね。じゃあ、行ってみようかな」
以前、魔力の出し入れの訓練をしたときは魔力を使って訓練も行うのかと思っていたが、バリヤは全て真剣では行わない、峰打ちだと言っていた。
怪我の沙汰にならない訓練であれば平和な日本育ちの自分でも、ショックを受けずに見られるのかもしれないと考える。
別れたばかりでなんだが、遠くから見守るだけなら邪魔にはならないかと承諾した。
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