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第48話 明日

「ベッドも浴室もご用意できましたよ」  エクストレイルがザックの部屋に現れた。 「魔王になるにはどうすればいい」  バリヤが応答する。  ザックも興味を持ったのか、書類の山から顔を上げた。 「魔王になるには魔王城に仕える仲間たち全員と契約を結ぶ必要があります。貴方が僕たちにとって仕えるべき魔王であるという風に」 「そんなことで魔王になれるのか」 「ねえ、それは報告書に書いても良いことかな」 「良いわけないでしょう。機密事項です」  すぐ記事にしようとするザックにエクストレイルはぴしゃりと言い返した。  魔王城に仕える貴族たち全員という事は、エクストレイルだけでなく、魔王城に転送されたときに居たオークや狼男、サキュバスたちと契約を結ぶという事だろう。  どんな契約かはわからないが、短時間で済むようなものなのだろうか。 「魔法で契約を結ぶだけです。契約の証は僕たちの身体に刻み込まれ、バリヤ様にも刻印が刻み込まれます。僕たちが契約を解消するまで証は消えることがありません」 「それはあの時いた奴らで全部か」 「いえ、あとはドラゴンが居ます」 「ドラゴンも貴族なのか」 「はい。人型ではありませんが魔王城専属の貴族です」 「いつやるんだ」 「全員が集まらないといけませんから、明日以降になります」 「では明日に」 「わかりました。招集をかけておきます」  エクストレイルは帰って行った。 「バリヤ、明日には魔王になっちゃうの?すごいねぇ」 「メグルと結婚するためだ。結婚するまでに召喚されたら困るからなるべく早い方が良い」  結婚してこの世界に縛られることになれば、他の世界から召喚されにくくなる。    そしてバリヤと一緒になれるともいえることだった。  巡は改めて腹をくくり、バリヤと共に幸せになれるよう願った。

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