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第51話 今なんて?
「い、今なんて?」
「魔王になりました。魔王城で暮らすので寮を引き払いたい」
「魔王様と結婚したので、魔王城で暮らすので部屋を引き払いたいです」
「何を言ってるんだ君たちは!!そんな大きな事をなぜ無断で!?」
上層部の貴族たちは突然のことに思わず叫ぶしかなかった。
「神官のエクストレイル・ナーコに頼まれました」
「え!?バリヤ・オノルタ、君は第三兵団の兵長だろう!?」
「兵長を辞めるつもりはありませんし、副兵長のアノマ殿に任せられるのでご心配なく」
「メグル殿、君は異世界人間だったな。神官を辞めるのか!?」
「いえ、日中は暇なのでバリヤさんの朝の出勤と共に国に戻ってきてお祈りに参加しようかと」
「そんな上手く事が運ぶか!!騎士団の兵長を下ろすことは簡単にはできないが、流石に君は神官を辞めたまえ!!」
「は、はい……」
貴族たちの気迫に巡はたじたじで、何と返そうも返答が追い付かない。
バリヤは悪びれることもなく淡々と質問に答えていく。
「そもそも魔王など、この世界の危機ではないのか?!そんなものになぜなった!?」
「魔王は魔界の瘴気や魔物たちの暴走を抑える働きをするのです。第一線で戦う第三兵団で戦ってきたからこそ、魔王になってこの世界に貢献したかった」
「で、では魔王は勇者の敵などではないのか?」
「はい。この世界と魔界のバランスを保つための魔王です」
「何か悪事を働いた時には、貴様は我々の敵となるのだぞ」
「肝に銘じておきます」
「はぁ……。わかった。魔王が誕生し、第三兵団の兵長も続けることは国王様に我々から報告しておこう。しかし国王様からの呼び出しには必ず応じ、悪事を働かぬよう。このことは他の国にも知らせなければならない。何かあれば魔王と繋がりのあるこの国が他国から総攻撃を受けることになりかねんことを絶対に忘れるな」
「はい」
「メグル殿は、神官から除名しておく。元々異世界人はキュア魔法の治癒も使えぬのだ。魔王城ででもどこででも自由に暮らすが良い」
「……わかりました」
巡はしぶしぶ了承する。
今日から神官の行事も無いし、暇になってしまった。
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