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第57話 神の神格とザックの魔力
「メグルは神とどう知り合ったんだ」
バリヤが当然の疑問を投げかけてくる。
「エクストレイルさんに勧められたんです。毎日暇そうにしてるからって」
「そうか。神が悪い奴じゃなくてよかった」
バリヤは毎日忙しそうにしているが一応、巡のことも気にかけてくれていたのだろう。
神社の本殿からレベルアップの音が聞こえた。
「……神がザックの魔力を喰らって格が上がったんだろう」
「ザックさんの魔力って、本当に凄いんですね」
本殿の中で何をしているのかはわからないが、ものすごい勢いで神がレベルアップしていく。
神の格が上がるのと以前見たバリヤのレベルアップが似たようなものなのはなんとなく釈然としないが、この世界の世界観的にはこれが通常なのだろう。
「なるだけ短時間で済むはずだが、何をしているかわからないから先に帰ろう」
バリヤの一声で巡も神社を後にした。
「酷いじゃないか、置いて行くなんて!!」
転移魔法で帰ってきたザックである。
「ザックさん……大丈夫なんですか?」
巡の心配をよそに、思った以上にザックはピンピンしている。
表情も明るいものである。
しかし元からぼさぼさの髪は更に乱れ、眼鏡はずり落ち、着なおしたであろうローブの隙間から見える首にも鎖骨にも噛み痕がついている。
「大丈夫だよ。思ってた倍、物凄いことされたけど。エルフだからね、頑丈なんだ。いやあ、それにしてもあの神様は僕の魔力のおかげで魔界一の神格を持つことができるようになるかもしれないんだってさ」
「これからもあの神の元へ通うのか」
「え?うん。だってバリヤは、僕とメグルがそういうことするの、嫌なんだろう?」
「嫌だ」
「神様がいて、ちょうど良かったよ。神様は神格が上がってラッキーだし、僕も定期的に神に喰われれば魔力暴走を起こさずに済む。なによりメグルは、魔力の受け皿にはなれるけど、バリヤみたいに魔力を消費することがないから溜まるばかりで蓄積しようにも限界があったんだ。これで万事解決だよ」
ザックは満足げにそう説いた。
神と致した割に何の感慨も無いのがザックらしいところである。
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