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第17章 セフレ5

 パジャマを着た先生に下着やパジャマを手渡される。 「緊急避妊薬は連続使用する代物ではありません。性被害やデートレイプにあった人間が使うことを主に想定しています。後は気分が盛り上がってしまいコンドームをつけ忘れてヤッてしまった人なんかです。コンドームをつけないで妊娠しないようにするものじゃない。薬も本来と違う使い方をすれば、ただの毒になります。外から見えなくても中から、むしばまれていく。とにかく次からはコンドームをつけますね」 「おれは病気持ちじゃないぞ」  両の拳を痛いほど握りしめ、視線を布団へやっていると先生に頭を撫でられる。 「あなたが何人もの男や女と寝る人じゃないって知ってます。ただ俺の快楽のために薫さんに負担を強いる真似はしたくないんです」 「……先生」  顔を上げれば額にキスされる。 「緊急避妊薬を使わなくても低用量ピルとコンドームで避妊ができます。お願いですから、もっと自分の身体を大事にしてください」  そうして先生は部屋を出ていってしまった。  パジャマに着替えたおれは部屋の窓を開け、換気をしながら夜空を眺めた。キラキラと輝く宝石を紺色の布に散りばめたみたいだ。 「都会よりも星がよく見えるんだな」と独り言をつぶやいた。  わけもなく泣きたい気分になり、涙が頬を伝う。手の甲で生温かい液体を拭いながら気分が落ち着くまで心地のいい夜風にあたっていた。

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