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第28話※

ほんのり白み始めた天井を、ぼんやりと見つめていた。 小さなチルのベッドで、ジークに何度も抱かれた。追いつこうと、必死に手を伸ばしたけれど、途中からはもう、何もわからなかった。ただ、ジークを求めるまま、強く強く抱きしめていた。   快感だけが、身体の芯を貫いている。 何度も、何度も抱き合ううちに、身体の奥に疼くものがあると、はっきりわかってしまった。 温かな体温が、すぐ隣にある。腕の中にしっかりと抱き込まれ、逃げられないくらいの強さで引き寄せられている。 「……ん……」 小さく身じろぎすると、すぐにぎゅっと抱きしめられる。顔を上げると、金色の瞳が、熱を宿したまま優しくチルを見下ろしていた。 「……大丈夫か」 低く、かすれた声で囁かれる。ジークの声は、いつもより掠れていて、愛しさが混じった甘い音だった。 「ん……だいじょうぶ」 チルがかすかに答えると、ジークは小さく笑った。 「なぁ、チル……もう少しだけ、君を感じさせてくれないか」 耳元に囁かれた声に、チルの身体はびくっと震えた。恥ずかしくて顔を隠したくなるけど、ジークの腕に逃げ場はない。 「……え、う、うん」 かすれる声で頷くと、ジークは満足そうに喉を鳴らす。 「……可愛い」 それだけを呟き、チルの額に、まぶたに、頬に、何度も何度もキスを落としていく。 まるで確かめるように、優しく、甘く。 「愛してるよ、チル」 ジークは、愛を囁きながら、チルを抱き寄せ続けた。チルも、小さな手でジークの背に触れ、そっと応えた。 「そろそろ、風呂に入ろうか」 「えっ、えっ……お風呂?」 慌てるチルを、ジークはまるで子どもを扱うみたいに、ひょいと抱き直す。 「一緒に入りたい。いいだろ?」 耳元で囁かれたその声は、やたらと甘かった。 「…嫌か?」 「い、嫌って……っ、そ、そんなことは…」 チルは顔を真っ赤にしながら、こくりと小さく頷いた。 湯気の立ちこめる中、ジークはチルを膝の上に乗せ、背中から抱きしめる。あたたかな湯、広い胸板、包まれる安心感に、チルは小さく身を震わせた。 「……温かい……」 「そうだろう?」 低く穏やかな声が、湯気の中で肌に触れるように響いた。 「……疲れたか?」 チルは少しだけ肩をすくめて、こくんと小さく頷いた。その控えめな仕草に、ジークはくすりと笑みを浮かべる。 「どうした?……まだ眠そうだな」 軽くからかうように尋ねると、チルは首を横に振りながら、ゆっくりと答えた。 「……いえ、大丈夫です。あたたかくて、気持ちよくて……ちょっと、ぼうっとしてしまって」 その素直な言葉に、ジークは目を細め、やわらかくチルの髪を撫でた。 「そうか。なら……もう少し、ゆっくりしよう」 そう言って、ジークはチルの髪に唇を寄せ、そっとキスを落とした。静かな水音と、ふたりの呼吸だけが湯の中に溶けていく。 ジークはチルの耳元で囁きながら、そっと濡れた髪を撫でた。指先で、優しく、優しく、髪を梳く。 「チルの髪、柔らかいな」 また、あの甘く低い声。 チルの耳が、じんわり熱を持つ。 「……っ……ジーク様……くすぐった…い、です…」 チルが小さく抗うが、ジークは許してくれない。低く甘い声で、何度も、何度も囁きながら、髪、耳、首筋にキスを落とす。 この人は、本当に、どこまでも甘やかしてくる。どこまでも、溺れさせる。 「……チル」 耳元で囁かれ、ゆっくりと抱き直された。 熱く硬く滾るものが、背中越しに押し付けられる。それを感じると、チルの体の中心もズクンと疼いた。 「……なぁ、チル」 耳元で、甘く低く囁かれる。 「嫌じゃない……?」 その声に、チルはピクリと肩を震わせた。 頬がさらに赤くなり、視線を泳がせる。 ジークに甘やかされるのは、気持ちがいい。低い声…それだけで、チルの理性はあっという間に蕩けた。 「……う、うん、嫌…じゃない」 かすれた声で答えると、ジークはチルの肩に手を添え、そっとその身体を自分の方へ向かせた。次の瞬間、迷いなく膝の上に抱き上げる。 「……っ、ジ、ジーク様……っ、ゆっくりするって…」 ジークは、逃がさないようにチルの顔を両手で包み込み、そっと、けれど逃れられないくらい深く、キスを落とした。柔らかく、甘く、優しく…だけどその奥に、隠しきれない執着と欲望が滲んでいる。 「ゆっくりしようと思ってるんだ。だけどな……たまらない……」 キスの合間に、そんな甘い言葉を零しながら、ジークはチルを抱きしめ続けた。 チルは、そっとジークの背中に手を回した。ぎゅっと力を込める。 ジークの膝の上に抱え直されて、チルは顔を真っ赤にする。逃げようにも腕の中はあたたかくて、どこにも行けない。心まで溶けそうだった。 「いい子だな、チル」 耳元で、甘やかすような声が囁かれる。 「そ、そんな……子ども扱いしないでください……」 そう言いながらも、チルの声はかすかに震えていた。嬉しさと照れが入り混じる。 ジークはくすりと笑い、低く囁く。 「子ども扱いなんてしてないだろ?こんなふうに抱きしめて、耳元で甘いこと囁くのは、大人の恋人だからだろ」 その声に、チルの耳まで赤く染まり、思わず顔を埋めたくなる。 「他の何よりも、大切なんだ、君が」 囁きながら、ジークはチルの頬を撫で、耳をくすぐり、首筋に軽くキスを落とす。 「こうしていると、離したくなくなる」 低く囁かれ、さらに耳たぶを甘く噛まれ、チルはビクリと身体を震わせる。 「……ぁ……」 「ああ、可愛い……」 ジークの指がチルの背を撫で、腰をさすり、身体を優しく包み込む。そのままあの奥へを指を滑らしてくる。 「ゃ……そこ……」 「…昨日、無理させたか…」 昨夜、幾度となく奥深くまで注がれた熱を、チルの身体はもう、しっかりと刻み込んでしまっていた。 「…んっ、ふぁっ、んんっ…」 ジークの指が奥深くまで沈み込み、ゆっくりと中を探るように動いていく。チルは懸命に声を押し殺すが、抑えきれない吐息が響いてしまう。 もどかしさに突き動かされ、チルは思わずジークにすがりつくように抱きしめ、腰を押し寄せた。 その動きが合図になり、ジークはすぐにチルを抱き直すと、下からゆっくりと、けれど深く貫いた。 どくんどくんと、熱を帯びた衝動が、奥深く進みながら、チルの中で何度も激しく暴れている。 「痛くないか?」 「い、、たくない………気持ちいい…」 チルの言葉に、ジークは小さく息を呑み、ひと呼吸だけ動きを止めた。 「俺につかまってて」 そう言うと、ジークはいきなり下から容赦なく突き上げた。 激しく、堪えきれないように腰を深く打ちつけ、熱が二人を繋ぎとめる。湯がバシャリと音を立て、波が重なるたびに、チルの身体も甘く揺れる。 「...ああっ、や、ジ、ジーク..様っ」 「…止まれなくて、悪い…」 ジークはチルを軽々と抱き上げると、そのまま、さらにぐっと腰を沈めた。熱いものが奥深くまで押し込まれ、ぐちゅりと甘い音が立つ。 「……ぁ、ん……っ」 チルは反射的にジークの首にしがみついた。恥ずかしさに頬を染めながらも、身体はジークを求めて、離れられない。 そんなチルの反応に、ジークの瞳が猛々しく光る。腰を大きく回し、上下にさらに激しく振り付ける。 「……チル……可愛すぎるんだよ……っ」 低くかすれた声で呟いたかと思うと、ジークはもう理性を保てないように、荒々しく腰を打ちつけ始めた。ぐちゅ、ぐちゅ、と水音が激しくなる。 「俺から離れるな…チル…」 吐き捨てるような声とともに、ジークはチルを抱きかかえ直し、さらに深く、さらに強く貫いていく。湯が跳ね、肌と肌がぶつかるたび、甘い音が重なり合った。 チルは目を潤ませながら、必死にジークにすがりつく。 「や、やぁ……っ、ジーク様ぁ……」 震える声を聞いたジークは、チルを一層きつく、抱き締めた。 「……ああ……チル、たまらない……」 「や、やあああん…」 肌と肌がぶつかり合う生々しい音が、湯の中に微かに響く。ジークはチルを腕の中でしっかりと抱き上げると、そのまま、腰をぐいと回して押し上げた。 深く、奥まで沈み込む。 「……あ、ぁっ……」 チルが甘い声を漏らすたび、ジークの腕に力がこもる。 「...っく...チル…っ」 「や、や、だ、だめ…ああんん」 ぐちゅりと湿った音が深く響く。ジークが脈打つたびに、熱がチルの奥へと広がり、震える身体ごと、甘い衝撃が押し寄せる。 どくん、どくんと脈打つたびに、奥の壁を打ち、溢れるしぶきが小さな波紋をつくった。 「……愛してる、チル」 「……ジーク様…わたしも……愛してます」 震える声で返したその瞬間、ジークの腕はさらに強くチルを抱きしめた。永遠に続く、甘い時間だった。

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