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第9話

東城はベッドの上に乗ると、広瀬をひきずりこんだ。向かい合って座るかっこうになる。 そのまま、両腕を痛いほどにつかまれてキスをされた。先ほどの余裕ぶった雰囲気とは違って、貪られるようだった。痛いほど舌を強く吸われた。唾液を飲まれ、くまなく口の中をたどられた。気持ちがいいというよりも苦しく息がとまる。 何度も角度を変えて、口の中、唇、上あご、舌を吸われて舐められていく。長い長いキスだった。時間がたつと、やっと穏やかになってくる。 最後に唇を軽く吸われて放れる頃にはもう広瀬の口は疲れて、痺れていた。意識してぎゅっとしていないと緩く口が開いてしまうくらい。 「好きだ」と東城はなんども言う。 彼は広瀬の衣類を全てとりさり、自分も全裸になった。 広瀬は、彼の身体が好きだ。暖かく、なにもかも全てが強い。つい見とれてしまう、均整のとれた筋肉だ。もの欲しそうな目になっているだろう、と思う。 ベッドのヘッドボードにいくつも置かれた枕に背を預け、座らされた。 そっと、手を膝に当てられ、膝が立った形で折り曲げて足を開かせられる。広瀬は抵抗しなかったが、少し兆している自分の状態からは目をそらした。東城の人差し指がつっと根元から上にすべる。それだけで、さらに立ち上がってくる。 「お前の、いつもきれいだな」と言われた。「俺と一緒にいない間、どうしてた?」 「え?」 「自分でした?」 「なにを」 「こうして、自分で」左手が広瀬の屹立をやんわり包んで上下させた。 その問いには、答えなかった。声が上ずりそうで恥ずかしい。 東城の低い声が耳に這い入って「俺はしたよ。お前が独りでしてるのを想像しながら」手を動かしながら、頭の中のお前すごくいやらしかった。でも、今目の前にいるお前の方が何十倍もエロい、と言った。 「つっ、あ、」息をのんだ。 彼が頭を下げると、中心を口に含んできたのだ。 「んん、」 暖かいやわらかい濡れた感触が全体を包み込む。これだけでいってしまいそうだ。 東城の口の中で執拗に吸われ、舐められ続けた。耐えていると太腿の内側が震える。ほとんどは優しく舐められているだけだ。先端の一番感じやすい部分を飴でも舐めるようにぺろぺろと繰り返し舐めてくる。ときどき、舌の先端を尖らせてつついてきた。そのたびに腰がゆれ、声が漏れる。もう、先走りがでているのだが、全部彼に舐めつくされている。弾けそうだけれど、この悦楽がもったいなくて、必死にこらえた。 もう少しで、というときにじゅっという音をたてて彼の口が放れた。右の手の甲で口の周りの唾液をぬぐっているのが見える。 広瀬はたまらず腰を揺らした。

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