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第17話

セミナーの夜、広瀬は、東城のマンションで待ちくたびれていた。何度も時計を見て、何度もスマホを見る。 彼が遅いのはいつものことなのでかまわないが、花沢さんと一緒にいるのに連絡がないのが心配だったのだ。 セミナーが終わったはずの時間から既に何時間もたっている。 もう、深夜といっていい時間だ。 花沢さんは今度の一件について遊び感覚でいるから危険なことになっていないといいのだが。 いらいらしながら待っていたらやっと電話が鳴ったのですぐにでた。 「ああ、起きてた?今、花沢さんちにいるんだ」と明るい声がした。「お前も来る?花沢さんちにうまい日本酒があるんだよ」わずかに酔った声だった。 「無事なんですか?」 「ん?何?」電話のむこうの彼は、広瀬の心配など全く気づいていないようだ。 「そちらに行きます」広瀬は電話を切った。 マンションを出て走って商店街にむかった。 花沢ふとん店の2階で、すっかり打ち解けた二人が酒盛りをしていた。

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