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第20話

「それで、これからどうするんだい?」 花沢さんがガラスの銚子に入れた日本酒を東城のお猪口に注ぐ。 東城もすぐに返杯していた。ついでに広瀬のお猪口にも入れてくれる。 キリッとして口当たりのよい日本酒だ。奥多摩のほうで酒蔵をもっている幼馴染から仕入れるらしい。 「武中のことをもう少し調べます。写真も手に入りましたし。車のナンバーもわかりましたから」と東城は胸ポケットに入れた広瀬のペン型のカメラを手の中でくるくる回している。 「手伝うよ」と花沢さん。 「そうですか。じゃあ、さしあたって、詩吟の先生にお弟子さんの中でセミナーに行った人がいないか聞いてみてください。入門講座受けた人がみつかったら、どんなんだったかその人に話を聞きましょう」 そう言いながら東城は人好きのする魅力的な笑顔で花沢さんにお酌をしていた。 この件が自分にとってなんの得があるんだとさかんに文句を言っていたのと同じ口とは思えない積極さだった。

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