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第21話
セミナーの3日後、再び宮田、鈴野、広瀬、花沢の4人で『アザミ』で会合を持った。
花沢はともかく、3人の時間を合わせるのは大変だったが、なんとかやりくりして昼過ぎに集合した。
『アザミ』では、ナポリタンが美味しいと花沢さんに勧められ3人とも大盛りを頼んだ。理想通りの昔ながらのナポリタンだった。食後にはコーヒーもついてくる。
宮田は自分達のコーヒーカップがわずかにグレードアップしているのに気づいた。
小さいICレコーダーが机の上に置かれた。セミナーの録音をしたものだ。さらに、セミナーや協議会、武中に関する数ページのレポートも作成されていた。
こういうところは東城って律儀だなあと宮田は思う。本人は忙しいらしく、『アザミ』には来ていない。レポートを読めばセミナーのだいたいの様子はわかる。
「セミナー終わった後、武中の車を尾行したんだよ。東城クンはノリがよくってさ、捜査って面白いね。わくわくしちゃったよ」
これは捜査じゃないんですよ、とまた宮田が念押しした。東城はこのふとん屋のオヤジとなにを遊んでいるんだ、とも思った。
東城のレポートを手に取る。最初のページに要約がついていた。武中は偽名の可能性あり、要確認と書かれている。
「要確認っていってもなあ」と鈴野は言った。
「今日の夜、この協議会の入ってるビルに行ってみる」と広瀬が言った。「どんなビルかみて、オーナーが誰かわかれば、テナントのことも聞けるかもしれない」
「今夜って何時?」と花沢さんが聞いている。かなり遅い時間を広瀬が告げた。人がいない時間の方がいいので、と言っている。
「一緒に行ってもいいかい?」と花沢さん。
「遅い時間ですし、外から見るだけです。後で様子はお伝えしますから」と広瀬は静かにだがきっぱり答えた。
花沢さんは残念そうだったが、了承した。
「おい、一人で行く気なのか?」と横から宮田が言う。
広瀬はうなずいた。
「だめだよ、一人で行ったら」
「ビル見に行くだけなんだけど」
「それが危ないんだよ、広瀬の場合」と宮田は言った。
広瀬は無表情のまま答えなかった。宮田は気にせず、何時に行くのかと時間を再度確認した。
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