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第29話

花沢さんを交えた会合は、それほど時間をおかずに行われた。 今度は、夜に、花沢さんの家に集合したのだ。 花沢さんの奥さんは相変わらず家にはいなかった。家の中は、前来たときよりも片付けられたような感じで、こころなしかガランとした感じに思えた。 広瀬、宮田、鈴野の3人は先についた。 「刑事さんといえばカツ丼だろう」と花沢さんが言って近所の蕎麦屋に出前を注文しようとしていた。お勧めはカツ丼らしい。 この手の冗談は、飽きるほど聞いているので、3人ともおとなしく「それでいいです」と答えた。 カツ丼以外にも、蕎麦や天麩羅も注文してくれている。キッチンのテーブルの上に並べられた。 「お酒は、相談が終わってからにしよう」と花沢さんが言った。「いい珍味があるから、後で出すよ」 花沢さんが勧める近所の隠れた名店だけのことはあり、どれも美味しい。食事をしながら今までの進捗を話していると、東城が遅れて花沢さんの家にやってきた。 「こんばんは」といい、手にはふろしきに包まれた高価そうな日本酒と肴を持っていた。 鈴野は東城と面識がなかったので、立ち上がり丁重に挨拶していた。 「お噂はかねがね」とかなんとか言って、「かねがねってなんだよ」と東城につっこまれていた。

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