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第8話*

 肩を軽く押されただけなのに、ペタンと後ろに尻もちを付いてしまった。  驚いたように目を丸くし、彼を見つめる。 「……シゲ、ル……さん?」  僕が彼の名前を口にするも、言われた通りの行動を取らなかったことに苛立ったのか「チィッ」と、舌打ちをして不機嫌そうな顔をしてくる。 「みつる。俺に抱いて欲しいんだろ?なら、言われた通りにしろよ」  呆れたような盛大な溜息をワザとつかれる。 「言うことを聞けないならもういい。俺はシャワーに……」  苛立ちの含んだ彼の声にビクッと肩を震わせ、さっさと浴室に向かおうとする彼に向かって、慌てて床に四つん這いになりお尻を彼に向けた。  本当は向かい合って、顔を見てしたい。  前みたいにギュッと抱きしめ合いながら、彼の匂いを感じながらしたい。  でも、僕の想いは彼には届かなかった。  四つん這いになった僕の脚を軽く蹴って挿入しやすいように脚を拡げる。  何かのキャップを開ける音が聞こえ、そのままお尻に冷たいローションを掛けられた。 「発情期(ヒート)明けだから、解さなくても大丈夫だろうが、俺は優しいからな」  アナルに親指が添えられ、くぱぁっと開かされる。 「ヤ、やだぁ……シゲルさん、見ないでっ」  バイブを使い、散々自慰をしていたせいで赤く腫れたアナルが彼の目に晒される。 「俺が相手をしてやれてないのに、みつるのココはもう準備万端みたいだな」  ローションで濡れた親指が、クチュクチュと卑猥な音を立てながら抜き差しされる。 「これなら解さなくても大丈夫だろ」  親指を引き抜き、代わりに熱く芯を持った太いペニスを押し当てられる。 「まっ、待って!シゲルさん待って、いきなりっ!おっきいの、切れちゃう」  嫌だと首を横に振り、哀願の言葉を口にするも僕のお願いなど聞き入れて貰えない。  一気にカリを押し込まれ、体重を掛けて奥へと侵入してくる。 「くっ……ふっ、はぅぅ……」  内臓を押し潰すように圧迫され、苦しくて息が詰まる。 「クッ……、み、つるのココは、キツいなぁ……」  これ以上奥に挿って欲しくなくて、身体が無意識に強張ってしまい、彼のペニスを締め付ける。 「もうちょっと緩めろよ。みつるも気持ち良くなりたいだろ?」  少しだけ苦しそうなシゲルさんの声。  恐怖と痛みのせいでガチガチに固まってしまった僕の身体を解すように、胸の突起をつねられる。  ビリっとした痛みと快楽、萎えてしまったペニスをローション塗れの手で擦られると嫌でも勃起してしまう。 「ふわっ……ヤッ、しげ……る、さ……」  涙目になりながらシゲルさんの方を振り返るも、やめてくれない。  強張った身体が弛むと同時に腰を掴まれ、乱雑に腰を打ちつけられる。 「やだや゙っ!ま゙、で……とま゙っで……とま゙っでぇ……」  奥を抉るように腰を動かされ、涙ながらに哀願する。  バチンッ  乾いた音が室内に響き、同時に臀部に痛みが走る。  何をされたのか一瞬頭で理解できなかった。  バチンッ  再度乾いた音と痛みに目を見開き、お尻を叩かれていることに気付く。 「イヤッ!しげ、る……さ……イタッ!いたいっ……やめっ……ごめ、なさっ」  叩かれるたび、臀部に痛みが走りる。  痛みからギュッと身体に力が入ってナカを締め付けてしまう。 「みつるは痛いと良く締まるね。ほら、自分でもわかるだろ?」  嬉々としたシゲルさんの声とは裏腹に、お尻を何度も手のひらで叩かれる。  その度に僕の悲鳴が口から洩れる。 「ごめっ、なさぃ……いだい゙、い゙だい゙の、ヤダッ!」  這いつくばって逃げようとするも、腰を掴まれ奥深くまで結合されているせいで逃げることなんてできない。 「ひぃんっ!あ゙っ……イ、たい……イタい……」  どれだけ僕が痛みを訴えても、シゲルさんはやめてくれない。  むしろ叩く手は強まり、回数を重ねる毎に僕のお尻は赤く腫れていく。 「叩かれるの気持ちいいんだろ?みつるは痛いのが好きなのか?ヘンタイ」  僕は嫌だと言ってるのに、興奮気味に言ってくる彼。  嫌なのに、痛いのに、苦しいのに、どれだけお願いしてもやめてくれない。  ナカを穿つ腰を緩めてもくれない。  痛みと恐怖ですっかり萎えてしまった僕のペニスを無理矢理擦り、鈴口に爪を捻じ込んでくる。 「イ゙ッ!イ゙ダイ゙っ!痛い!やめてっ!ごめ、なさぃっ!ごめんなさぃっ!」  早く終わって欲しい。解放して欲しい。  ただそれだけを願った。  もうやめて欲しかった。 「みつる、感じてんだろ?さっきからだらしなく先走りを漏らしてるくせに」  シゲルさんが僕を蔑むような言い方で言ってくるものの、彼が気持ちいいなら我慢するしかない。  僕にできるのは、あの子では満足できないシゲルさんの欲を受け止めてあげるだけ……  僕の方がシゲルさんのことを愛してるって、証明するにはコレしかないと思った…… 「いっ、いたっ……、きも、ちぃ!それ、きも、ィっ!きもちぃ……よ。きも、ちっ……イぐッ!」  好きな人と身体を重ねているはずなのに、涙が出てしまう。  嬌声なんて出てこない。出てくるのは、痛みに必死に耐える呻き声だけ。  気持ち良くない……  痛い……痛い……痛い……  あの子とはしないの?  僕だけ……?僕だから、こうなの……?  早く、早く……終わって…… 「くっ……みつる、出すぞ。おい、もっと締めろよ」  今までで一番強い力で殴られる。  バチンッと一際大きな音が室内に響くと同時に、僕も声にならない悲鳴を上げた。 「――ッ!!」  痛みから背が弓なりに反り、痙攣と共にナカをギュッと締め付ける。  奥にシゲルさんが精を吐き出したのを感じるも、それ以上に痛みのせいで何も感じない。 「しっかり搾り取れよ。俺の大事な(つがい)ならそれくらいできるだろ?」 『大事な(つがい)』という言葉に涙が溢れ出す。  嬉しいはずなのに、胸の奥が痛くて寂しい。  最後の一滴まで注ぎ込むように腰をゆるゆると動かし、奥に擦りつけナカを堪能しているようだった。  僕は……痛みのせいでイクことなんてできなかった。  ペニスが赤くなるまで無理矢理擦られたせいで、先走りは溢れ出ていたものの、射精することができない。  痛みと恐怖ですっかり萎え縮こまってしまった可哀相なペニス。  痛みに耐えるように、小さく震えながら静かに泣いていると、ゆっくりアナルからベニスが引き抜かれる。 「はぁ~、みつるとヤルのは久々だったけど、まぁまぁ良かったな。ほら、早く掃除してくれよ」  軽く息の上がった彼は、ソファーにドカッと深く座り脚を広げて僕が座るスペースを作っている。  掃除……つまり、さっきまで自分のナカを出たり挿ったりしていたペニスを口で綺麗にしろってことかな…… 「……はい」  嫌だ。とは言えない。  真っ赤になってしまったお尻が、ほんの少し、床に触れただけで飛び跳ねそうなくらい痛い。  でも、シゲルさんはお掃除フェラをするまで許してくれなさそうだった。  僕の愛液とローション、彼の精液で汚れたペニスを両手で支え、舌と口を使って綺麗に舐めとっていく。  ドロドロの液体が喉に絡んで気持ち悪い。  ギュッと目を閉じながら色んなモノが混ざった液体を喉を鳴らして嚥下する。  数分間、彼のペニスが綺麗になるまでずっと舐めたり口内に含んだりして掃除した。  やっと綺麗になったと思い、ペニスを口から離すと、彼さっさと1人でシャワーを浴びに行ってしまった。

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