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第15話
2度目の精をミツのナカに吐き出すも、俺の熱を冷ますことはできなかった。
悲鳴に近いミツの嬌声と、強まっていくミツの甘いフェロモンの匂いに理性が抑えられない。
息も絶え絶えになりながらも、ミツのアナルは俺のペニスを咥え込んで離さない。
逃げようとするミツの腰を押さえ付け、体重を掛けて奥を犯す。
グチュブチュと水音が室内に響き、ミツのか細い喘ぎ声が聞こえる。
「はぁ……はぁ……ミツ、ミツ……」
涙と涎でぐちゃぐちゃに汚れた顔。
イキ過ぎてぐったりと気を失いながらも、乳首を愛撫すると甘い声が小さく出てくる。
再度奥に精を吐き出し、ゆっくりとペニスを引き抜く。
こぽっと音を立てて俺が出した白濁がアナルから溢れ出すのを見て、無意識に口元が緩んでしまう。
「……ミツ。愛してる」
愛しくて仕方ないミツの唇にそっと口付け、傷だらけの頬に優しく触れる。
ずっと欲しくて堪らなかった愛しい人を抱くことができたことへの喜びと同時に、自分のやらかした事の重大さに後悔の念に苛まれる。
「ごめん、ミツ……」
意識のないミツをベッドに寝かせ、簡単にだが濡れたタオルで身体を拭いてやる。
傷をひとつひとつ確認し、ナカに出してしまったモノを掻き出してやる。
時々感じる場所を掠めてしまったのか、小さく震えながら甘い声が上がる。
「ミツ、本当に……ごめん」
ミツが意識を失いながらも、俺の手で感じていることが嬉しくて堪らない。
こんな、レイプ紛いなことをしてしまって罪悪感が募るのに、今まで抑え込んでいた愛しさの方が優ってしまい、もっとミツを犯したくて堪らない。
「ミツ、愛してる……」
ミツと『番 』になるのは俺だとずっと思っていた。
幼い頃からずっと側に居て、大切に見守り続けていた愛しいΩ。
将来『番 』になろうと約束していた愛しい人。
それなのに、ある日を境にミツの態度がよそよそしくなったのは理解していた。
俺のことが嫌いになったのかと聞くと、困ったような笑みを浮かべ「僕がハルくんを嫌いになるなんて、一生ないよ」と、言ってくれた……
だから、父親から出された条件も、どんな無理難題もクリアしてきた。
ミツと『番 』になれるなら、家を出る覚悟すらしていた。
それだけ、ミツと一緒になるためならなんだってできた。
俺にとっての幸せは、ミツの側にいることだけだから……
父親の条件通り、カタチだけのお見合いやパーティーにも嫌々参加した。
会社の利益の為だと言われれば、好きでもない取引先の令嬢と会食やデートもした。
どうでもいい噂が上がっても、俺が誰にどう思われようとも関係なかった。
誰に嫌われようとも、ミツが俺を好きでいてくれるなら、それだけでよかった。
ミツさえ側に居てくれれば、俺はそれだけでよかったんだ……
愛するこのΩと一緒になれるなら、なんだって……
「ハルくんに紹介したい人がいるんだ」
出張から帰ってきた俺に、どこか寂し気な笑みを浮かべながら言ってきた。
「こんな僕にも恋人ができたんだよ。いきなり告白してきたのはびっくりしたけど、すっごくカッコよくて、いい人なんだぁ〜」
俺と目を合わさないように遠くを見つめながら話すミツの顔は、今にも泣きそうな表情をしていた。
「ハルくん。シゲルさんがね、僕のことを『番 』にしてくれるって言ってくれたんだ。僕にも番 が出来るなんて、本当に嬉しいなぁ〜」
幸せそうに微笑むミツに、俺は「おめでとう」と言うことしかできなかった。
ミツの恋人があのクズだと紹介された時、腑が煮え繰り返る重いだった。
俺の従兄弟であるアイツは、ミツのことを愛してなんていない。
アイツがミツに手を出したのは、ただ俺への嫌がらせのためだけだ。
アイツが俺のことを嫌っていて、俺への嫌がらせのためだ。
ただそれだけの理由でミツに近付き、俺の目の前で愛しいΩを奪っていった。
アイツの勝ち誇った笑みを今でも忘れることができない。
あのクズの隣で幸せそうに笑うミツに、なんて言葉をかけたらいい?
「アイツはそんな奴じゃない。ミツのことを愛してない」
そんなこと、言えるわけがない。
だから、ミツが幸せならそれでいい。と自分に言い聞かせた。
誰の番 になろうと、俺はミツを愛しているし、ずっと見守っている。
ミツが幸せなら、それだけでいい。
俺の『番 』はミツ以外考えられない。
だから、生涯『番 』を作るつもりは毛頭ない。
結婚するつもりもなかったのに……な……
簡単な手当てと後処理が終わり、清潔そうなシーツにミツを包んでやる。
ミツの意識はまだ戻らないものの、このままこの場所にひとりにすることなんてできない。
スマホで部下に電話をし、車を回して貰うよう手配する。
部屋は俺が来た時と変わらず、物が散乱した状態だ。
こんな場所に、アイツが帰って来るとは到底思えない。
「ミツ……さっきよりは、顔色はマシかな。ごめんな、無理……させたな」
汗で張り付いてしまった前髪を指で梳いてやり、そっと触れるように額にキスをする。
「帰ったら、ちゃんと綺麗にしてやるから……」
何物にも変えることなど出来ない、俺の大切な宝物。
ミツが目を覚さないようにそっと静かに抱き上げる。
部下が数人、部屋に入って来たのを確認し、後の片付けと状況調査を依頼する。
仕事に関係ないことで部下を使うことに一瞬躊躇うも、自ら率先して引き受けてくれた。
車に乗り込む直前、一緒に来ていた林田が突然謝罪の言葉を何度も口にする。
彼女の目元は真っ赤に腫れており、声も掠れていた。
「キミのせいじゃない。キミがミツの違和感に気付いて連絡をくれたから助かったんだ。本当にありがとう」
泣きじゃくる彼女の肩をポンっと叩き、礼を言ってから車に乗り込んだ。
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