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「大河様なりに姫宮様を慰めていらっしゃるのですね。なんて可愛らしい」 頬に手を添えて微笑む安野。 「写真を撮っておけば良かったでしょうか」 携帯端末を片手に真面目な顔をして言う上山。 「可愛い! 可愛い! でもどこでそのようなことを覚えたのでしょうね?」 ふと口を疑問にする江藤。 「大河さま風上にもおけない男になりましたねぇ、御月堂さま」 挙げ句、小口が面白がって話を振られ、御月堂はわざとらしく咳払いをした。 「ともかく、大好きな母親のために大河がしてくれたことは分かった」 そうは言うものの、背中に刺さるような視線を感じる。 それからすぐにツンとするような匂いが漂ってきた。 前にも嗅いだことがある酸っぱい匂いは嫉妬している証拠だ。 それはきっと自分では躊躇ってしまったことを、大河がいとも簡単にしたことが許せないということなのだろう。 そう思うと、御月堂は案外子どもっぽいのかもしれない。 このような状況でなければ、微笑ましいことだなんて思うところだろう。 当然のことながら姫宮にしか分からない匂いは気にしもしてない様子の視線も含めて頬ずりしてくる大河のことも、普段であれば甘えてくるのは嬉しいと思うものだった。

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