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「御月堂さま、強がり? 強がりですか?」 「誰が強がっているなど⋯⋯」 「こういうのは思い切りが大切なんですよ?」 「言われなくとも分かってる」 「分かっていらっしゃるなら、行動なさるべきですよ。御月堂様が現にそうしていないから私達はこうして言っているのですから」 「⋯⋯⋯⋯私なりにしただろう」 ぐうの音が出ない。 苦し紛れの言い訳のように返した御月堂はため息を吐いていた。 小口達に同時に詰め寄られてしまったら、何も言えなくなるのは前々から見てきたものであったが、今は苛立ちがより濃く匂いを感じる要因になってしまっている。 このままだとこの匂いに呑まれてしまう。 このような場所で発情してしまうのはとてもみっともないことだ。だから、早く離れないと。 頬が熱くなっていき、熱い息を短く吐く。 「ま⋯⋯ま⋯⋯?」 抱きしめていた大河が不思議そうな目で覗き込んできた。 さすがに間近にいるから、母親の異変に気づいてしまったのだろう。 「ううん、大丈夫だよ⋯⋯」 我が子を宥めるように頭を撫で、自分に言い聞かせるように言った。 本当は大丈夫ではない。少しでも気を緩めてしまったら、この性は本能をさらけ出してしまう。 そんなことをしてはいけない。特にこの子の前では。 早く離れないと。 「⋯⋯ま⋯⋯」 葛藤している最中、大河が服を引っ張ってきた。 それはさっきよりも強く。 どうしたのだろうと思ったら、両手でぐいぐい引っ張っていたのだ。 「⋯⋯大河、そんなにも引っ張ったら、伸びちゃう⋯⋯」 ため息混じりに言い、そしてゆっくりと立ち上がった時、大河が手を繋ぎ、その際もぐいっと引っ張り誘導する。

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