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ゆったりとできるソファに腰かけ、自身のお腹を撫でる。 そこそこ大きくなったそれは自分が代わりにお腹の中で育てている愛の結晶。 「あともう少しで本当に会いたい人達に会えるよ、楽しみだね」 慈しむようにされど寂しそうな目で見つめていた。 「姫宮さん、ちょっといいかしら?」 影が差した時、頭上から声を掛けられ顔を上げるとそこにいたのは依頼者である奥さんだった。 奥さん自身も何度も懐妊したようだが、無事に産まれることはなく、見かねた旦那さんが今回依頼してきたのだが、奥さんは今回のことを納得してないらしく、姫宮のことを何かとなじってくる。 だから苦手意識を持ってしまった姫宮は無意識に硬直する。 「はい、何でしょうか」 すると、奥さんは口角を上げた。 「そのお腹の子いらないから、堕ろすなり、あなたが責任取って、育てるなり好きにして頂戴」 「え⋯⋯」 突然何を言い出すのかと思えば。 「奥様、何を仰っているのか分かりません。もう堕ろすことはできないのですが⋯⋯」 「だったら、あなたが産んで育てるしかないわね。それとも、それを建前に慰謝料を請求してもらいたいの? そうよね、オメガなんて限られた仕事しかできないものね。だから今回の代理出産のお金も含めて欲しいって魂胆?」 「い、いえ、そうではなく⋯⋯」 「なに? あなた依頼した人に楯突くわけ?」 「あ、いえ、そんなことは⋯⋯」 空気がピリつく。お腹の子のためにも何とかこの場を収めないと。 言いようもない恐ろしさで何も考えられずにいる姫宮に、奥さんはこう言い放った。 「堕ろす気も育てる気もないなら、無かったことにしてあげましょうか」 「それって、どういう⋯⋯」

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