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15.

寝る前は微笑ましいことであったが、大河が隣で寝ているというのになんてものを見てしまったのか。 変な寝言を言ってなければいいが。 あんなこと、我が子に聞かせたくない。 姫宮が編んだぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、時折むにむにと口を動かしていた。 寝言を言っているのか。それとも何かを食べている夢だろうか。 喋れるようになったら、そのうち寝言が聞けるのだろうか。ちょっと楽しみ。 自分のように悪夢を見なければいいが。 と、仰向けに寝返りを打った大河が、その拍子に薄らと目を開けた。 少しの間、ぼうっと天井を見ていたかと思うと辺りをきょろきょろと見回していた時、姫宮と目が合った。 「⋯ま、⋯⋯ま⋯⋯」 「あ、おはよう。よく眠れた?」 「⋯⋯」 小さく頷く愛しい子の頭を撫でる。 「起きたことだし、お着替えをしようか」 そう言うと、うんと頷いた大河が起き上がった時、そそくさと部屋を出て行った。 再び戻って来た時には、手に服を持っていた。 それを当たり前に姫宮に渡した。 その様子に苦笑した。 「今日もママに着替えさせてもらいたいの?」 大きく頷いた。 「ふふ、そうなんだ。じゃあバンザイして?」 素直に両手を上げてくれた大河を着替えさせる。 「はい、着替え終わったよ」 大河が心なしか嬉しそうに見えた。 それは母親に着替えさせてもらったのもあるかもしれないし、今井からのプレゼントに改めて喜んでいるのかもしれない。 「今井さんからのプレゼント良かったね。可愛いね」 微笑むと興奮気味に何度も頷く。 「⋯⋯ま⋯⋯っ」 「ん?」 「ま⋯⋯ま⋯⋯」 「うん」 「⋯⋯⋯」 何かを言おうとしているようで、口を開いていたが少し経ってもその次の言葉が聞こえてこない。 『ママ』の次に何が言いたかったのだろう。

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