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『は』 「は」 「⋯⋯」 二人の元へ行くと大河がボタンを押し、それを伶介が真似して発していた。 また新しい遊びをしているのだろうか。 「ちょっと二人ともいいかな」 「なあに?」 「ケーキがあるんだけど、二人が何が食べたいのか聞きに来たの」 「わっ、けーき!?」 その場に大げさなぐらい飛び跳ねた伶介が、「たーちゃん、けーきだって!」と興奮気味に言う。 「ままがもっていたないしょは、それだったんだね」 「そうなの。会えるのが嬉しくて。でね、二人は何が食べたい? 好きなのを選んでいいよ」 「えーなににしよー。たーちゃんはどうする?」 「⋯⋯」 大河は迷っているようで、ケーキをじっくり見ていた。 大河も迷うほどだったか。 それもそうかもしれない。こんなにも種類があって、見るからに美味しそうなものばかりですぐには選べない。 それに今までに作ってきたお菓子もそこまで手の込んだものも作れていなく、料理本で載っているそっくりそのままのシンプルなものばかりだった。 手の込んだ、とは言えないかもしれないが、誕生日の時手伝ってもらいながら作ったケーキが初めてだった。 今度また挑戦してみよう。 『はにわは?』 大河がボードで言ってきた。 「ハニワ⋯⋯?」 「あ、たんじょうびにはにわのけーきをたべたもんね」 うん、と頷く。 「あれはママ達が作ったものだから、ケーキ屋さんには売ってないんだ」 申し訳なさそうに言うと、眉を潜め、どことなく頬を膨らませていた。 大好きなハニワのケーキがなくてご立腹なようだ。 そうくるとは思わなかった。 こうなるとなかなか素直に聞き入れてくれない。 見た目が違えども中身が同じものがあるというのに。 そこではた、と姫宮は思った。 頑固な息子を納得させるものを思いついた。

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