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「姫宮さんはどうですか?」 「とても美味しいですね」 「そうですか! 姫宮さんにも喜んで頂けて嬉しいです!」 ぱっと花が開くように笑顔になった玲美につられて、微笑みにも似た顔を見せた。 「大河も美味しい?」 隣を見やると次から次へと口を運んでいる様子から、訊かずとも分かる満足さが伺えて、それでも律儀に頷く大河がこないだ伶介に言われていた"くまさん"になっているのも愛らしい。 その姿が可愛らしくて、手元に残しておきたいとポケットから携帯端末を取り出して、その場面を切り取った。 「伶介もチーズケーキ美味しい?」 「うんっ、おいしい! ままもたべてみて!」 「え? いいの?」 「うん!」 反対側では伶介が一口分を乗せたフォークを玲美に差し出しては、「あーん」をしてあげていた。 口に入れた途端、口元を隠した玲美が目を丸くした。 「本当だ! 美味しいね!」 「ねっ!」 笑い合っている二人のことを微笑ましく見ていた。 その時。「ま⋯⋯」と呼ばれた。 「どうしたの」と大河の方を見やる。 すると、最後のひと切れだったのであろうそれをフォークで刺し、差し出していた。 どうやら大河もさっきの光景を見ていたようで、真似したくなったらしい。 「ママがそれを食べていいの?」 訊くとうんと頷く。見つめてくる純粋な眼差しはどこか期待しているようだった。 「ありがとう。じゃあいただくね」 髪を抑えつつ、それを口に入れる。 ガトーショコラよりも甘く、口の中で広がった瞬間自然と笑みが零れる。 「美味しいね」 そう告げたつもりだった。だが、何故か大河は固まってしまい動かなくなった。 そしてほんのりと頬が赤いような。

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