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40.
「大河。これはねママが不安がっていたから、安野さんが安心させるために抱きしめてくれていたんだよ。だからね、さっきの言い方は──⋯⋯」
ぎゅっと抱きしめてくる。
「⋯ま⋯⋯ま⋯⋯っ」
すりすりと擦り寄せる。
急に何を、と思ったが、これはきっと自分だって安野みたいに、いやよりも 抱きしめてあげられるということかもしれない。
恐らく、何故母が不安がっているのか分からないと思われる。
けれども、その気持ちに感づいて、大河なりに安心させようとしているのかもしれない。
そうだと思ったら、無下にできない。
「大河⋯⋯。⋯⋯ありがとう」
膝に頭を乗せる愛しい我が子に身を屈めて抱き寄せる。
不安は拭えないが、いつまでもそんなことを言ってられない。
それに今はひとりじゃない。
どんなことを言われても、帰ってきたら皆がいる。
暖かく迎えてくれる人達がいる。
安野達が慰めてくれる。
だから、大丈夫。
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