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引き絞ったような声で返事し、緊張のあまりぎこちなくなった足取りで会長と呼ばれた女性の元へ行った。 机が隔たっているとはいえ、先ほどよりも近くなったことでさらに迫力が増すのはアルファ特有の雰囲気によるものだろうか。 「改めまして、この製薬会社の会長を務めさせています、御月堂梢といいます」 「姫宮⋯⋯です」 「存じております。あなたはかつて代理出産として我が息子の慶に頼まれてましたね。その際、不祥事があったようで。災難でしたね」 「⋯⋯お気遣いありがとうございます」 そのことまで母親に伝えていたのか。 特におかしい話ではない。なにせ後継ぎの子をどんな形であれ、産むことができなかったのだからこちらにも非がある。 「あの⋯⋯その件に関しては申し訳ございませんでした。私の不手際があり、大切なお子さんを産むことが出来ず⋯⋯」 「そうですね。どんな形であれ、後継ぎがいないと将来が不安になるものですから」 表情の読み取れない淡々とした口調。 目の前にいる相手がどんな感情でいるかは分からないが、その計りしれない圧がしてしまった重責を感じることとなった。 あの時、あのような行動をしなければ良かった。 しかし、どうしたってお腹の子が脅かされることに変わりはない。 けれども、何を言っても言い訳に過ぎない。 将来を潰してしまったにも等しいことをしてしまったのだから。 「代わりに後継ぎが産めなくなったあなたは、その代わりに何を差し出してくれるのですか」 「代わり⋯⋯」 ない、と言いかけた口を噤んだ。 大企業の跡取りを産むこともできなかった自分に何ができるというのか。 たとえこの命を差し出しても全然足りない。

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